遠く離れた相手と会う際、待ち合わせの有力候補となるのが、互いの居住エリアの中間地点。

しかし現在X上では、こうした常識が「北海道では通用しない」と話題になっているのをご存知だろうか…?

 
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■北海道民のオフ会、どこで実施がベスト?

注目を集めているのは、北海道のグルメや絶景をスポットを紹介する「NorthSmile」(運営・株式会社心美)のX公式アカウントが投稿した1件のポスト。

「北海道あるある」というハッシュタグが使用されたこちらの投稿は、札幌民、函館民、釧路民、帯広民の4名が登場し、「道民オフ会」の開催場所を話し合う…という、ショートストーリー形式となっていた。

札幌民は「無難に札幌やろ」と提案するも、釧路民は「札幌遠いな〜」と、眉をひそめる。北海道の「近い」「遠い」は、本州とは比較にならない規模のため、恐らくここで言う「遠い」は、とんでもない距離感と思われる。

すると、函館民から予想外すぎる提案が飛び出すのだった…。

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■道民の集合場所、そこで良いのか…?

函館民の口から出たのは「羽田空港」というワード。思わず、何かのタイプミスかな…? と身構えてしまったが、なんと釧路民、帯広民からは「賛成!!!」の声が上がっていた。

北海道民によるオフ会が遠く離れた東京の地で行われるという、本州の民からすると謎極まりない「あるある」は、瞬く間に話題に。

同ポストは投稿から数日で8,000件以上ものリポストを記録し、Xユーザーからは「なんでやねん」「それ、本当に合理的なの?」「これで合ってるのか…?」など、驚きの声が続出。

一方で、北海道事情を知っているユーザーからは「これはガチ」「ネタじゃなくて、本当にそう」といった、肯定的なコメントが多数寄せられていた。

そこで今回は、こちらの「北海道あるある」について、取材を実施することに。その結果、北海道の圧倒的スケール感が、改めて明らかになったのだ…。

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■それにしても北海道民、ノリノリである

ポスト投稿主・NorthSmileは、北海道のグルメや観光情報のほか、有益な口コミネタにも精通したアカウント(サイト)。

今回の「北海道あるある」のほか、「北海道難読地名」など、あるあるネタやクイズ形式の投稿で人気を博しており、Xの年間PV数は1.6億以上にも及ぶという。

今回のポスト投稿の経緯については、「今回登場した札幌、函館、釧路、帯広は、それぞれ自分の市に空港があり、どの市も『陸路で札幌へ移動するより、飛行機に乗って1時間半で羽田まで行った方が早い』というネタになります」と、説明する。

また、エリア毎のバチバチな対抗意識も巧みに表現しているようで、「函館は歴史的に札幌より早く栄えた経緯があり、立地的にも札幌に対抗心を持って『自分達は本州側の人間だ』というマインドを持ってる方も少なくないです」「こうした点を考慮し、函館市民に羽田空港を提案させました」とも補足していた。

記者の地元は埼玉県さいたま市の「浦和」なのだが、県内の他エリア勢から「同じ埼玉県民なのに、都民面をしている」とディスられる機会が少なくなく、函館市民の心境にはどこかシンパシーを抱いてしまう…。

ちなみに、同ポストには「◯◯県民のオフ会」と改変したパロディのリプライが多数寄せられており、やはり「埼玉県民オフ会」の開催場所は、池袋が候補筆頭であった。

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■開催地を「札幌」にした場合…

では、今回名前が挙がった札幌、函館、釧路、帯広は、どれほどの距離があるのだろうか。

NorthSmileからは「一番極端な例だと、函館−釧路間は下道で9時間以上、高速を使っても7時間かかります」「全員が札幌に集合する場合、函館からは4時間半、帯広からは4時間、釧路からは5時間半(いずれも下道)かかります」と、耳を疑う回答が得られた。

なお、これは「ノンストップで走り続けた場合」の時間なので、実際は休憩時間等を加味し、1時間前後の時間がプラスされる。

NorthSmileは「一応、札幌市内には『丘珠空港』という空港があり、釧路や函館の空港との連絡はあるのですが…羽田に比べると便数が少ないです」「また、羽田集合にした場合、札幌民も移動にほぼ同じ時間とコストがかかるので、今回の全地域民に平等となります」とも補足していた。

そのため、遠回り且つ狂気の沙汰にも感じられる「道民オフ会in羽田」は、じつは非常に合理的且つ、平等なプランだったのだ。

自身の都道府県でオフ会を開催する際は、どの場所で開催すれば最も平等となるか、考えてみると新たな発見があるかもしれない。

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■執筆者プロフィール

秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。

新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。

X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。

(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ