1万人以上が派遣されたとも伝えられているロシア北朝鮮兵。アメリカのブリンケン国務長官が10月31日の会見で語ったところによると、このうち8000人がすでにウクライナ軍が逆侵攻してきたロシアのクルスク州に移動。すでに砲撃を浴びているとのウクライナ当局関係者による情報もある。

 傭兵や義勇兵として外国人が従軍するケースはロシアウクライナ双方にあるが、国家として軍隊を派遣するのは今回の北朝鮮が初めて。特に派遣された北朝鮮軍は「暴風軍団」の異名で知られる精鋭部隊の第11軍団と見られているが、実戦経験がなく、真の実力については未知数だ。

「武器などの装備は、NATOから最新鋭のものが提供されるウクライナ軍以下で、ロシア軍にも劣ると言われています。部隊としての戦闘能力について疑問視する声は多く、北朝鮮軍をよく知る韓国の金竜顕(キム・ヨンヒョン)国防部長官は『弾よけの傭兵に過ぎない』と酷評しています」(北朝鮮事情に詳しい全国紙記者)

 過去にはベトナム戦争の際、北ベトナムに空軍を派兵していたことが後に明らかになっているが、この時は延べ5年間で800人程度。ちなみに韓国に亡命した元北朝鮮空軍兵士などの証言によれば、戦士したのはその1割にあたる約80名。だが、部隊の規模を考えれば、当時を上回る戦死者が出るのは避けられない状況だ。

「今回は陸戦部隊で、派遣先もウクライナ国境付近の最前線。数千人単位の戦死者を出してもおかしくありません。また、全員が母国に忠誠を誓っているわけではなく、隙あらば亡命してやろうと狙っている兵士もいるはず。戦意はさほど高くないのでは」(同)

 それに北朝鮮兵は全体的に小柄。体格で見劣りしてしまうことは否めない。

「同じくらい小柄な兵士にはグルカ兵と呼ばれるネパール人兵士もいますが、彼らは世界中の紛争地帯で活躍してきたプロの傭兵。実戦経験が豊富なうえ、ヒマラマの麓で生まれ育ったので心肺機能が高く、身体能力にも優れています。北朝鮮の兵士全員が同等のレベルにあるとは到底思えません」(同)

 とはいえ、1万人という数はやはり脅威。質より量で戦線を打開するつもりなのだろうか…。

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