「私たちはこの選挙の結果を尊重しなくてはならない」

 11月6日(日本時間7日)、アメリカ大統領選挙で敗れたカマラ・ハリス副大統領は演説でこう訴え、トランプ次期大統領へ平和的な政権移譲を行うと説明した。現地では“ノーサイド”の空気が流れつつあるが、日本のメディアはそうはいかないようだ。

 11月7日放送のTBS系情報番組「ひるおび」では司会の恵俊彰が、トランプ氏に対して批判を繰り返し、視聴者からは《問題発言だろ》《アメリカ国民が選んだ大統領に失礼》などとブーイングが殺到している。

 スタジオにズラリと並べられたのは、朝刊各紙の一面。皆川玲奈アナウンサーが「アメリカ大統領にトランプ氏、ハリス氏破り再登板、トランプ氏返り咲き、再びアメリカを偉大に」と新聞の見出しを読み上げ、「大きく取り上げられています」と説明。司会の恵は「まあ、ですから本当にトランプさんなんだ~。なんて言うんですか、破壊者トランプさんみたいなところがあるんですけど、そういう方がアメリカの方選ぶんだとか、いろんな感想お持ちだと思うんですが」と述べて番組を進行させていく。

 その後、ワシントン支局と中継を結び、支局長がトランプ氏の勝因を分析。歴史的な物価高が民主党のバイデン政権の逆風になったと分析し、「刷新感だけで勝てるほど大統領選は甘くない」とコメントした。これに恵は「最終的には『ラーメン1杯3000円を何とかしてくれよ』というところが、『はい、トランプさん』になっちゃったみたいなところがあるのかもしれません」と語ってこう続けた。

「ただ、やっぱりその、暴君を選んだ、破壊者を選んだみたいなところがありますから、国際社会はどう反応していくの、という意味では課題もたくさんありまして…」

 その後、番組では中国やイギリス、北朝鮮など各国の反応について説明していたが、ネット上では《また破壊者って…》《よその国のトップを暴君呼ばわりか》《アメリカ国民に失礼》と批判の声が見られた。

「恵さんがいきなりトランプ氏を『破壊者』と表現したのは驚きましたが、スタジオで紹介した新聞の中で、『毎日新聞』の一面には、『破壊者からの転換を』と題したコラムが掲載されていました。この見出しから影響を受けた可能性もありますが、その後もトランプ氏を『暴君』呼ばわり。たしかに、21年に起きた議事堂襲撃事件では4名の死者を出すなど、暴力的なイメージがつきまとっていますが、トランプ氏が大統領在任の頃は、世界的に大きな戦争が起きていなかった点を指摘する声もあり、一概に破壊者のレッテルを貼るのは印象操作と受け取られても仕方ないかもしれません」(メディア誌ライター)

 冒頭のハリス氏の言葉を借りるなら、情報番組の司会者は選挙の結果をより尊重すべきかもしれない。

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