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今年の締めとなる大相撲九州場所(11月10日初日、福岡国際センター)も目前。力士たちは仕上げの調整に励んでいるが、ここでも注目は史上最速で大関に昇進した大の里(24)だ。
今年1月の初場所で入幕を果たしたばかりだというのに、すでに優勝2回、三賞も先場所まで5場所連続と、1場所も手放すことはなかった。もちろん、これも史上初だ。
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そして、この九州場所で新大関優勝を成し遂げれば、史上9人目、白鵬が2006年夏場所で優勝して以来、18年ぶりのことになる。そうなれば、史上最短タイの大関2場所で横綱昇進というビッグレコードも視野に入ってくるだけに、周囲の熱気は高まる一方だ。
大の里もそれを強く意識していることは間違いなく、10月末の新番付会見では「1年の最後の場所。しっかり初日からいい流れをつかみ、いい形で締めくくることができれば」と力強く語っていた。
ただ、不安材料はある。
10月に行われた秋巡業後半、風邪の一種であるアデノウイルス感染症に罹り、離脱して茨城県阿見町の部屋での静養生活を余儀なくされた。おかげで「巡業中にしっかり稽古して、次に向けて頑張りたい」と話していた調整計画は狂い、やっと相撲を取る稽古を再開したのは10月30日のことだった。
大の里、体調は上向き
「急ピッチで仕上げていますが、稽古不足は明らか。師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)も見るにみかねて、稽古再開日には7分間もぶつかり稽古で胸を出して、土俵の砂で全身真っ黒になるまで転がし、大の里も『ありがたい、力になります』と感謝感激でした」(大相撲担当記者)
その甲斐あって、11月5日には二所ノ関親方と12番連続で相撲を取り、7勝5敗と勝ち越すほど体調が上向いたが、アデノウイルス感染症は免疫がつきにくく、場所中に再発する可能性もある。
もっとも、もう一つ大の里には期待されるタイトルがある。年間最多勝だ。
現在、大の里は56勝で、2位の大関・琴桜に4勝、3位の大関・豊昇龍に8勝差をつけて先頭を走っている。新入幕の年に獲得すれば、あの昭和の大横綱、大鵬が1960年に手にして以来、64年ぶり、史上2人目の快挙となる。
「こちらの受賞マジックは11勝。大の里にとっては軽いものでしょう」(同)
記録ラッシュとなるか。
「週刊実話」11月21日号より一部内容を変更