日本サッカー協会(JFA)が11月7日、2026年ワールドカップ北中米大会アジア最終予選のアウェー2試合(15日・インドネシア戦、19日・中国戦)に出場する代表メンバー27人を発表した。

 森保一監督は「日本のために戦いたいと思っている素晴らしい選手がたくさんいる中で27人しか選べなくて申し訳ない」とコメント。今回故障で招集が見送られた上田綺世に代わり、所属クラブで絶好調が続く古橋亨梧が約1年ぶりに招集された。「決して(上田の)代わりではない」と森保監督はコメントしたが、選手層の厚さは歴代最高と言っていい。

 今回の2試合はアウェー戦とあって地上波の生中継が本来ならない。

「元締めのアジアサッカー連盟(AFC)が放映権を牛耳り、8年で総額2000億円という法外な提示額で売り込んできました。これにはどの放送局も見送り。ホーム戦こそテレビ朝日がバラ売りで購入しましたが、アウェー戦はNHKでさえ手を挙げなかった」(夕刊紙記者)

 その結果、アウェー戦はスポーツ配信チャンネル「DAZN」の独占放送になった。JFAには「アウェーの試合こそライブで見たい」という要望が多数寄せられたが、

「AFCが頑として放映権料の価格を下げることを拒否した」(JFA関係者)

 だが、宮本恒靖会長がアウェー戦の無料視聴に向けて手を尽くしたことで、このほどDAZNが2試合の配信を無料開放すると発表。「100万回パスをつないで みんなで#代表みようぜ」企画を実施しており、「#代表みようぜ」を付けた投稿などのアクションが100万回を超えたから、というのが表向き理由だが実際は違う。

「宮本会長は『ファン、サポーターの皆さんには感謝しかありません』と平身低頭でしたが、JFAとしてはアウェー戦もテレビで生中継してもらうのが理想でした。それがどうしても不可能になったため、宮本会長が2試合だけでもとDAZNに拝み倒した。“直接営業”が実った形なんです」(前出・夕刊紙記者)

 欧州や南米各国では、サッカーの代表チームは「公共財産」と位置付け、W杯予選など重要な試合は「無料放送」が基本だ。田嶋幸三前会長は「JFAが1試合の放映権料を出してもいい」とコメントしていたが結局はそれも実らなかった。宮本会長はしばらくDAZNに足を向けて眠れない…今回のアウェー戦無料開放にはそんな舞台裏があった。

小田龍司

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