清原和博 (C)週刊実話Web
7月の東京都知事選で2位に食い込んだ石丸伸二前安芸高田市長の応援もあり、公示前の7議席から4倍増の28議席に大躍進した国民民主党。この大旋風がドラフトで指名漏れの憂き目に遭った、慶應大学の清原省吾内野手(22)の進路に大きな影響を与えている。
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同党の玉木雄一郎代表の選挙区が高松市を中心とした香川2区のため、今衆院選で2028年を目標に進められていた巨大ボールパークの建設計画が加速。その広告塔として清原ジュニアに白羽の矢が立ち、プロ野球独立リーグ・四国アイランドリーグplus(以下、四国IL)の香川オリーブガイナーズが事実上の選手権球団社長の“約束手形”を用意して獲得に漕ぎ着けたとも伝えられているからだ。
「新球場のウリは日本一長いアーケード街です。JR高松駅から徒歩5分圏内にある8つの商店街で構成され、東西南北に交錯する形で総延長2.7キロ。そこに讃岐うどん、和洋中の居酒屋、料理店、ルイ・ヴィトン、グッチ、三越など約1000軒の店が連なる。ここに新球場を建設すれば、低コストで巨大ボールパークが誕生する。これこそ玉木氏が目指す新たな町づくりモデルだと評判です」(地元経済団体)
高松市の人口は41万人余り。四国の都市としては2位にあたるが、MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島やエスコンフィールドHOKKAIDOのような商業施設や高層ホテルと一体化したボールパークの建設は難しい。どんなに低く見積もっても数百億円の費用かかるからだが、高松市にはそれを補うに足る特異なアーケード街が存在するというわけだ。
「それでも球場建設には数十億円の費用がかかるとみられているが、行政と連携して土地を活用すれば、大幅に抑えられる。その意味でも自民公明が大敗して少数与党となり、玉木氏が率いる国民民主が石破政権のキャスティング・ボートを握ったことは大きい。玉木氏は自民への協力について“自らが掲げる政策を受け入れることが条件”と言い放っていますから」(スポーツ紙記者)
“裏金問題”で山が動いた
ちなみに、玉木氏の政治的交渉相手とも言える石破茂首相が、以前からお題目のように唱えているのが「地方創生」だ。加えて石破氏はプロ野球の球団拡張による地方再生の提唱者でもあるため、NPB球団不在の四国へボールパーク建設支援を引き出すのはそう難しくないとみられている。
「問題は建設場所です。故・安倍晋三元首相が愛媛県に肩入れしたため、これまでは松山市が最有力候補だった。しかし、裏金問題で自民党の安倍派議員が総崩れになり、山が動いた。高松市がボールパークを造り、NPB参加を申請すれば、当面の目標である16球団移行の1つが高松市になる可能性が高い」(同)
つまり、総選挙で大勝した国民民主にスポットが当たっている今なら高松市へのボールパークの建設、NPBへの参加もたやすいだろうとうわけだ。
一方、ドラフトで指名がなかった清原正吾が今後も野球を続け、将来のNPB指名を待つには5つの選択肢があると言われている。それが社会人(企業)チーム、クラブチーム、NPBファーム球団、国内独立リーグ、米留学だ。
清原ファミリーに詳しい人物によれば、本人は慶大4番打者のプライド、西武、巨人などで通算525本塁打した父親・和博氏(57)のメンツから米国の名門大学(もしくは大学院)に留学し、語学を学びながら夢を追う道を模索しているという。
それが四国IL・香川オリーブガイナーズ入りに転じたのは、国民民主党の大躍進で高松市にボールパークの建設が確実視され始めたことが大きい。まさに絶妙のタイミングだ。
同党の玉木代表は県立高松高校から東京大学法学部に進み、財務官僚を経て国会議員に。地元の信頼と人気は絶大だ。
また、このアーケード街を活用したボールパーク計画の音頭を取るのが、香川オリーブガイナーズの福山敦士球団社長(35)。慶大OBでサイバーエージェント社出身の同氏は27歳で独立してウェブ会社を立ち上げ、M&Aでオリーブガイナーズの球団社長に就任した起業家だ。
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ホットラインで清原正吾にオファー
企業の合併・買収のエキスパートが、赤字が続く四国の独立リーグ球団に資金を投じたのは、将来のNPB参入を見据えてのこと。
その工程表に沿って昨年11月には、慶應高校の前野球部監督で、慶大でもコーチを務めた上田誠氏を球団代表に招聘。その上田氏は現慶大野球部監督の堀井哲也氏の直系の先輩であることから、このホットラインを使って清原正吾にオファーを出し、すでに話はついているとも言われている。
「正吾がプロ野球を目指すのは、父・和博氏のユニホーム復帰につなげたいという思いもあるからです。中日の立浪和義監督が続投していればコーチとして入閣する可能性もあったが、退任したため、その可能性も立ち消えた。これを斟酌してオリーブガイナーズは和博氏に監督オファーを出したという情報も流れています」(同)
他方、福山球団社長は新球場建設の資金調達にIPO(新規株式上場)を計画しているという。そうなれば親交のあるサイバー社の藤田晋社長、GMOインターネットグループの熊谷正寿会長などからの支援が期待できる。福山氏が球団オーナーになれば、球団社長ポストが空く。ここが肝だ。
「独立リーグのオリーブガイナーズは、NPBのように1億円規模の契約金は払えない。そこで球団社長の“約束手形”を清原省吾に用意したというのです。役員待遇選手として入団し、いずれは球界初の“球団社長兼任選手”に。この条件で検討を促したと伝えられています」(同)
清原サイドには、慶大OBの山下大輔氏(元横浜監督)がGMを務めるNPBウエスタン・リーグのくふうハヤテベンチャーズ静岡をはじめ、同イースタン・リーグのオイシックス新潟アルビレックスBC、独立リーグの栃木ゴールデンブレーブス、神奈川フューチャードリームス、山梨ファイアーウィンズ、徳島インディゴソックス、そして実業家の“ホリエモン”こと堀江貴文氏が設立した北九州下関フェニックスなどからもオファーが届いているという。
ただ前述した背景を見る限り、清原ジュニアがこれらの申し出を蹴って高松に赴く可能性は、極めて高いと言わざるを得ないのだ。
「週刊実話」11月21日号より一部内容を変更