今季のJ2を制した清水は3連勝でフィニッシュ。怒涛の追い上げを見せた長崎は5連勝、一時はプレーオフ圏外だった山形は圧巻の9連勝でシーズンを終えた。
重要な終盤戦で勝負強さを遺憾なく発揮したチームとは異なり、横浜FCはトーンダウンした。20戦負けなしで迎えた35節・仙台戦。勝利すればJ1自動昇格圏内の2位以内が決まる一戦は0-3の完敗。約5か月半ぶりの黒星がついた。
ここから歯車が狂う。36節・岡山戦は2-4で敗れ、今季初の連敗を喫する。37節・栃木戦は3試合ぶりのクリーンシートも0-0のドロー。この節でいわきに1-0で勝利した清水にリーグ優勝を奪われ、3位長崎との勝点差はついに「3」に縮まった。
11月10日のJ2最終節。山口のホームに乗り込んだ横浜FCは、引き分け以上でJ1昇格が確定する。だがこの試合に敗れ、長崎が勝利すれば、勝点で並ばれると同時に得失点差で下回り、3位に転落する。
結果は0-0のスコアレスドロー。愛媛を5-2で破った長崎を勝点1で上回り、最後の最後でJ1行きの切符を掴んだ。
20戦無敗からラスト4試合は2分2敗の未勝利。シャーレは手にできずとも1年でのJ1復帰という目標は果たしたが、まさかの結末だった。
順調に勝点を積み上げていた時期も、選手たちは口々に「このままではダメ」「これではJ1で通用しない」と危機感を募らせていた。昇格を前提に、と楽観視していたわけではもちろんない。現状に満足せず、より高みを見据えて貪欲にレベルアップを期していた。
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確かに最後は足踏みした。それでも不断の努力があったからこそ、薄氷を踏むような昇格への道を渡り切れたのではないか。
リーグ最少失点(27)の堅守は伊達ではない。山口戦の63分、自陣右サイドでンドカ・ボニフェイスが突破を図る若月大和に振り切られそうになるが、狙いすましたタックルでボールを奪い取ってみせる。福森晃斗は何度も体勢を崩しながら必死にクリアするなど、選手全員が局面で身体を張った守備を見せていた。
最後は勝って昇格を決めたかったかもしれないが、必要な勝点を掴み取った。「引き分けでもOK」のシチュエーションで、それをやり遂げるのはそう簡単ではない。失点すれば、それで終わり。だが、横浜FCは守り抜いた。前節に続いてゼロで抑えきった。
攻撃面に課題があるのは明白だ。一方で、堅守を誇るチームが“2戦合計7失点”という緊急事態から見事に立て直した。苦しんだクライマックスだったが、自分たちの強みも弱みも存分に痛感できたのは、来季に向けて何よりの収穫でもあるはずだ。
文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)
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