ここまでのミルウォーキー・バックスの戦いぶりは、はっきり期待外れと言っていいだろう。
現地時間11月9日(日本時間10日、日付は以下同)の時点で、イースタン・カンファレンス13位の2勝7敗(勝率22.2%)と低迷。ヤニス・アデトクンボはここまで1試合のみの欠場で平均30.1点、12.8リバウンド、5.3アシスト、フル出場中のデイミアン・リラードが同27.3点、4.7リバウンド、6.7アシストを残しながら、下位に沈んでいる。
とはいえ、敗れた7試合のうち、クリーブランド・キャバリアーズとの2戦はいずれも激戦を演じ、どちらも2点差以内の惜敗。連敗を6でストップした7日のユタ・ジャズ戦では123-100で快勝と、チームは上り調子になったかと思われた。
だが、8日のニューヨーク・ニックス戦では、一度もリードを奪えず94-116で完敗。この黒星に、アデトクンボはショックを隠せなかった。
「僕らは前の試合でやり合えたか?そうだ。その前の試合はどうだったか?やり合えた。じゃあ今日は競い合えたのか?いや、できなかった。一生懸命に競い合えないと、試合に勝つことなんてできない。最低でも自分たちにチャンスを与える戦いをしなきゃいけない。
昨晩最高のプレーをして、僕らはニューヨークへ降り立った。そこで僕らは大敗してしまったんだ。競い合わなくてもいいのか?そんなの許せるわけがない。2日後にボストンへ向かうんだ。このまま競い合えないと、僕らは30点差で負けてしまうだろう」
バックスはアデトクンボ、リラードとともにビッグ3を形成するクリス・ミドルトンが、足首の手術からの回復中で今季まだ出場できておらず。平均2桁得点を記録しているのはアデトクンボ、リラードと12.2点に8.3リバウンドのボビー・ポーティスのみで、オフェンシブ・レーティングは昨季の117.6(リーグ6位)から110.8(同20位)へ大幅ダウンしている。
フィールドゴール成功率39.7%、3ポイント成功率26.2%で平均9.3点のブルック・ロペス、同29.5%、23.1%で平均7.3点と不調のゲイリー・トレントJr.といった選手たちの復調も待たれるところだ。
だが、このまま黒星先行の状況を引きずっていると、イースト上位争いから脱落する危険性もあるだけに、アデトクンボは警鐘を鳴らしていた。
「結局のところ、僕らは競い合わなきゃいけないんだ。相手チームが僕らへ勝利をプレゼントすることなんてないし、僕らが苦しんでいても罪悪感に陥ることもない。僕らはどのポゼッションでも戦わないといけない。どんなルーズボールであれ、僕らはフロアへダイブして奪いに行かなきゃ。けど今の自分たちはそういうやり合いができていないんだ」
ドック・リバースHC(ヘッドコーチ)体制2年目を迎えたばかりのバックスは、トレントJr.に代えてアンドレ・ジャクソンJr.を先発起用するなどマイナーチェンジこそしているものの、勝ち切れない状況が続いている。
さすがに開幕から9試合を終えたこの段階で、アデトクンボやリラードのトレードを模索することはないだろう。しかし黒星先行から好転できず、チームの雰囲気が悪くなってしまうと、トレードトークの噂が先行し、さらなる悪循環へ陥る可能性もあるだけに、なんとか早いうちにこの状況から脱却したいところだ。
文●秋山裕之(フリーライター)
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