『連続ドラマW ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―』は、映画に引き続き高い再現度が絶賛されていますが、それでも放送枠の都合やコンプライアンスの問題でカットされた場面はいくつもあります。そういった改変も評価されていますが、やはり「あの場面観てみたかった」と思ってしまうのもファンの心理です。
ドラマ2話で辺見を助けようとした杉元は、全裸にならずにサスペンダー姿になった。『連続ドラマW ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―』より (C)野田サトル/集英社 (C)2024 WOWOW
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生首はいいけど姫の「ふざけた乳首」はNG?
2024年10月からWOWOWで放送が始まった映画『ゴールデンカムイ』の続編ドラマ『連続ドラマW ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―』は、毎話原作の再現度や的確なオリジナル要素、豪華キャストの名演などが絶賛され話題を呼んでいます。
原作よりもマイルドにはなっているもののしっかり人体破壊描写があるほか、アイヌの少女「アシリパ(演:山田杏奈)」の「未成年飲酒」シーン、「勃起」「チンポ先生」などの過激ワードも出てきており、原作ファンからは「地上波では無理な要素多いからWOWOWで正解だった」などと、納得の意見も多く出ていました。かなり攻めた場面もしっかり再現されていますが、描かれなかった原作の人気シーンも多々あり、納得する人、残念がる人のさまざまな声が出ています。
たとえば、第4話冒頭7分ほどで終わった「茨戸の用心棒」のエピソードは、アニメでもOADになったカット回で、「尾形百之助(演:眞栄田郷敦)」が「土方歳三(演:舘ひろし)」の一派に合流する、という最低限必要な描写にとどまりました。そのほか、全9話のドラマの放送枠の都合や、さすがにコンプライアンス的に厳しいなどの理由でカットされたと思われる場面もありました。
動物関連はカット多め?
ドラマ『ゴールデンカムイ』には、ヒグマやエゾオオカミ「レタラ」、シャチなどが登場していますが、原作にはさらなる動物の衝撃シーンがいくつもありました。たとえば刺青囚人「二瓶鉄造(演:藤本隆宏)」のエピソードが終わった後の、原作「怪奇!謎の巨大鳥」の回は、本筋と関係ないということもありカットとなっています。
また、ドラマ3話では「杉元佐一(演:山崎賢人)」たちが川で「キロランケ(演:池内博之)」に出会う場面で、「イトウ」にまつわるシーンが変わっています。「白石由竹(演:矢本悠馬)」がイトウを捕まえようとして川に落ちるところまでは同じですが、白石がそこで人間の倍くらいあるイトウに飲み込まれるシーンは、彼が常識の範囲内での巨大イトウと一緒に引き上げられる、という描写になっていました。
改変は致し方ないものの、3話担当の片桐健滋監督はWOWOW公式サイトのインタビューで「あのサイズのイトウを手に入れるのは難しいと分かっていたので、撮影に焦点を合わせて自分たちで飼育して大きく育てました(笑)」と語っています。
そのほか、タヌキや鯨の捕獲シーンや「シャチの竜田揚げ」の場面、アシリパの「アザラシ撲殺」などがカットとなりました。実際に動物を殺すことはできない以上、なかなか再現が難しいのでしょう。
観てみたかった?「杉元の全裸」と「姫の乳首」
「闇鍋」と呼ばれるほどさまざまな要素がてんこ盛りの『ゴールデンカムイ』において、特に欠かせないのはやはり「男の裸」でしょうか。映画『ゴールデンカムイ』では杉元が銭湯に入る場面が再現され、役作りで10kg増量した山崎さんの見事な肉体が話題になりました。
一方、ドラマ第2話で期待されていた、「杉元が全裸で海に飛び込む」場面はさすがにカットされています。刺青囚人「辺見和雄(演:萩原聖人)」が海でシャチに襲われる点は一緒ですが、それを助けに行く杉元は上着を脱いだだけで海に入っていました。ただその代わりに、上着を脱いだ杉元が「サスペンダー」を着けていたことでそのカッコよさが話題になり、X(旧:Twitter)で「サスペンダー杉」がトレンド入りしており、改変が功を奏したともいえます。
また、厳密にはカットされたわけではないですが、視聴者が観られなかったのは「姫の乳首」です。5話で、凶暴なヒグマ3頭に追われた杉元たちは森のなかの小屋に逃げ込み、そこでヤクザの親分「若山輝一郎(刺青囚人のひとり/演:渋川清彦)」と、彼の子分で恋人(「姫」と呼ばれている)でもある「仲沢達弥(演:木村知貴)」に出会います。
若山がヤクザだと判明した後、杉元たちは仲沢も子分ではないかと疑い、刺青がないか確認しようと彼の上半身を脱がせました。彼の乳首をアシリパが怖がり、杉元たちが彼の乳首を「何だその乳首は」「ふざけた乳首しやがって」などと罵る点は原作と一緒でしたが、ドラマでは仲沢の胸元ギリギリまでしか映されていません。
ネット上では「親分に殺された生首はOKで汚い乳首はNGなのは草」「やっぱり親分からNG入ったのかな」「姫と同じ感じの乳首の人が傷つかないための配慮では」と、いろんな意見や考察が出ています。今のところ男の裸要素が少ないのは、後に作られるであろう続編の「ラッコ鍋」「スチェンカ」「バーニャ」などの名シーンへの布石かもしれません。
そのほかのカットや改変にも、納得の声が多く出るほどの信頼を得ている実写『ゴールデンカムイ』は、今後ドラマ8話でアニメではOADにもなっていない「偽アイヌ」のエピソードが放送予定です。これから作られるであろう、続編の衝撃シーンにも注目が集まります。