「日程の影響が大きい」ブルズに逆転負けしたホークスのヤングが連戦続きの過酷さを訴え。指揮官も「極めて異例な状況」<DUNKSHOOT>

 アトランタ・ホークスは、ホームのステイトファーム・アリーナで臨んだ現地時間11月9日(日本時間10日、日付は以下同)のシカゴ・ブルズ戦で、前半を終えて70-60と10点のリードを奪取。フィールドゴール成功率54.8%(23/42)、3ポイント成功率42.9%(6/14)と高確率でショットを沈め、試合を優位に進めた。

 ところが、8点リードで迎えた第4クォーターにフィールドゴール成功率26.1%(6/23)、3ポイントを7本すべて落とすなど計15得点と急失速。逆にコビー・ホワイトに最終クォーターの11得点を含む35得点を献上し、最終スコア113-125で逆転負け。今季戦績をイースタン・カンファレンス11位の4勝7敗(勝率36.4%)とした。

 ホークスはジェイレン・ジョンソンが20得点、6リバウンド、5アシスト、クリント・カペラが20得点、9リバウンド、ザカリー・リザシェイが17得点、2ブロック、ダイソン・ダニエルズが16得点、8リバウンド、6スティール、トレイ・ヤングが14得点、16アシストをマークするも2連敗。
  今季このチームは主力のボグダン・ボグダノビッチ(ハムストリング)が1試合、ディアンドレ・ハンター(ヒザ)が2試合しか故障のため出場できておらず、ベストメンバーをなかなか揃えることができずに苦戦している。

 主軸のヤングとジョンソンはどちらもキャリア最長の平均36.5分プレーし、ここまでフル出場。新加入のダニエルズが攻守両面で自己最高のシーズンを送っているなかで、ようやくプレーイン・トーナメント進出圏内を行き来しているという状況だ。

 だが、ブルズ戦で露呈した第4クォーターの失速は、ケガによる戦力ダウンだけでなく、スケジュールにもその一因があった。ホークスは8日のデトロイト・ピストンズとのアウェーゲームを1点差で惜敗し、翌9日にホームゲームをこなすなど、7日間で5試合をこなす強行日程だった。

 ブルズ戦で痛い逆転負けを喫した後、そこに至るまでの背景についてヤングはこう話していた。

「チームワークがどれだけ影響していたのかはわからない。それよりも僕らがこなしたスケジュールが大きいと思う。僕らはこの3週間でバック・トゥ・バック(2連戦)が3回もあった。そのことを残念がる人たちなんていない。戦うしかないんだ。しかもホームで2連戦ではなく、ロード(アウェー)とホームで組まれている。(2連戦の合間に)移動もしているんだ。このタフな期間と日程で戦い抜かないといけない。それにチームのみんなが健康体である必要がある」
  ヤングが指摘したとおり、ホークスはここまで3度の2連戦をこなしたが、いずれもアウェーからホームへ移動するスケジュールで、2日目はいずれも敗戦。10月27日のアウェーゲーム(対オクラホマシティ・サンダー)、翌28日のホームゲーム(対ワシントン・ウィザーズ)はどちらも黒星を喫していた。

 米メディア『RealGM』によると、今季NBAの全30チームは平均14.9回の2連戦が組まれているという。そのうち、11チームが最多の16度あり、ホークスやサンダー、ウィザーズなどがタフな日程をこなす予定となっている。

 その一方、最も少ないのは13度。3試合の差ではあるものの、ブルズやボストン・セルティックス、ロサンゼルス・レイカーズを含む6チームは恵まれていると言えるのかもしれない。

 すでにシーズンが始まってしまったため、こればかりは仕方ないことなのだが、2連戦で主力選手たちを酷使してしまうと、ケガをしてしまうリスクが伴うだけに、注意が必要なのは明らか。
  クイン・スナイダーHC(ヘッドコーチ)は「コミュニケーションをとっている。この期間は極めて異例と言える状況なんだ。我々は様々なローテーションを組んでプレーし、彼(ヤング)とは話し合ってきた。試合終盤、彼は明らかにガス欠になっていた」と語っていた。

 ヤングは8日のピストンズ戦で今季4度目の40分超え(41分)、翌9日のブルズ戦でも37分52秒コートへ立ち、ここまでリーグ2位の平均11.5アシストに23.9点、4.2リバウンド、1.3スティールでホークスを引っ張っている。

「彼(スナイダーHC)は僕が毎晩40分プレーすることを望んじゃいない。だから今夜はちょっとローテーションを変えて、いろいろと試してみたんだ。もう頻繁に話しているよ。自分が出る必要があるのか、それとも休むべきなのか、彼はコート上の僕を見て判断してくれているんだ」

 タフな日程によって、ヤングへかかる負担が増えていることは事実ながら、司令塔と指揮官が互いにコミュニケーションをとっていることはポジティブな要素と言える。今後も2連戦は続くため、彼らの奮闘が勝利という形で実を結ぶことを願いたい。

文●秋山裕之(フリーライター)

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