プロ野球ロッテが11月9日、佐々木朗希投手のポスティング(入札)制度によるメジャーリーグ(MLB)球団への移籍交渉を開始することを発表した。佐々木もこの日、球団のSNSで「入団してこれまで継続的に将来的なMLB挑戦について耳を傾けていただき球団には感謝しかありません」とコメントしている。
この挑戦に最も驚いているのがMLB各球団だ。何しろ、ロッテにとってこの移籍は全くメリットがないからだ。
「佐々木は『25歳未満の国際FA』という形で移籍することになり、マイナー契約に限定される。となると契約金は最大700万ドル(約10億円)で、ロッテへ入る譲渡金は20%の140万ドル(約2.1億円)だけ。ちなみに今季ドジャースへ移籍した山本由伸の場合、オリックスへ5062万5000ドル(約77億5000万円)が譲渡金としてわたっている。そのため現地ではもともと『ロッテにとって大損でしかない。今オフの佐々木の移籍はありえない』との声が圧倒的だったんです」(夕刊紙記者)
そんななか、佐々木にしてみれば「1年でも早く…」との意思を貫き通したということだ。
「19年のドラフトでは4球団が佐々木を1位指名しロッテがくじを当てて交渉権を得たわけですが、佐々木の考えは一択。それは、ポスティングによるMLB移籍を認める球団かどうかでしたからね」(前出・夕刊紙記者)
しかし、佐々木のMLB移籍交渉についてロッテの吉井理人監督が容認しながらも「未完成な部分がまだまだある」とコメントしているように、早すぎるという評価が多く聞こえる。しかも、佐々木が生まれ育った岩手県陸前高田市の関係者からはこんな声も聞こえてくるのだ。
「プロ入りしてからも市の有志で声援を送り続けてきましたが、メジャー移籍の意思をはっきり表に出し始めたのに比例して地元に戻ることも減り、交流は一気に減ってしまいましたね。もちろん、アメリカに行っても応援は続けますが」
ネガティブな声を一掃するには、やはりメジャーの大舞台での活躍しかない。
(小田龍司)