多種多様なモビルスーツが存在する「ガンダム」シリーズにおいて、「未完成のまま」出撃せざるを得なかった機体があります。



「RG 1/144 ジオング(バンダイ)(C)創通・サンライズ

【画像】えっ、完成してるじゃん! こちらが「未完成モビルスーツ」の完成バージョン&後続機です(5枚)

未完成? ウソやろ!

「ガンダム」シリーズにはバリエーション豊富な存在します。それらのなかには、やむを得ず「未完成のまま」出撃せざるを得なかった機体も存在します。

80%の完成度だった「ジオング」

「未完成のモビルスーツ」といって、外すことが出来ないのが、『機動戦士ガンダム』においてシャア・アズナブルの最終機体となった「ジオング」です。

 ア・バオア・クーでの決戦時、このジオングについてキシリアは「80%しか完成していないようだ」と言っています。このジオングには脚部が付いておらず、これが未完成とされるゆえんで、「MSV」やマンガ『プラモ狂四郎』には脚部を付けたジオングの完全形態「パーフェクトジオング」なる機体も登場しています。

 アムロのガンダムとの最終決戦では、計13門のメガ粒子砲と、両手の有線ハンドによるオールレンジ攻撃を活かした猛烈な射撃で、相打ちまで持ち込みました。「もしジオングが完成していたらシャアは、アムロに勝っていたのでは?」と妄想が膨らむ一方で、「脚がない」というモビルスーツとしては異形なデザインが「ラスボス」たる風格を漂わせているようにも感じさます。

運用上の欠点を抱えていた『バイアラン』

『機動戦士Zガンダム』に登場した「バイアラン」も未完成だった機体です。本編では36話に初登場し、試験中の機体にジェリド・メサが乗り込みました。

 本機は「大気圏内を単独かつ可変機構なしで飛行可能なモビルスーツ」という画期的なコンセプトで開発されました。

 機体性能としては、大気圏内用の熱核ジェットエンジンと、機体各所に装備された大推力スラスターを搭載し、徹底的に軽量化が施されたことにより、飛行能力と高い機動能力を獲得しています。

 しかし、推進剤の搭載量は限られており、航続距離や飛行可能時間が短いという問題点を抱えていました。武装は、もともと試作機であることと機動性能を重視したためか、メガ粒子砲2門とビーム・サーベル2基のみです。

 滞空時間に問題を抱えていたバイアランですが、打倒カミーユに燃えるジェリドの執念も相まって、ベテランパイロットのアポリー・ベイ中尉のリック・ディアスを撃沈するという活躍を見せました。

 なお、『機動戦士ガンダムUC』では、滞空時間の欠点を補った「バイアラン・カスタム」という改良機体が登場しています。



「ROBOT魂 機動戦士ガンダム0080 [SIDE MS]RX-78NT-1 ガンダムNT-1 ver. A.N.I.M.E. 」(BANDAI SPIRITS)(C)創通・サンライズ

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開発者に「化け物」と言わしめたMS

敵軍に「未完成」と評された「ガンダムNT-1」

『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に登場するガンダムNT-1、通称「アレックス」も未完成と呼ばれた機体です。

 同作の小説版で、ジオン軍が未完成品として「できそこない(グリナス・ヘッド)」と呼ぶシーンが存在するのです。その理由は、アレックスが「ニュータイプ専用モビルスーツ」を謳いながら、当時ジオンがすでに運用していたサイコミュ兵器などを搭載していなかったからです。

 一方、本機はニュータイプの優れた感応能力に適応するために特化した工夫が施されています。全周囲型モニタースクリーンを持つ球形コクピットを採用することで、ニュータイプの直感や空間認識能力を活かせるよう設計されているほか、本機の開発に携わった技術者に「こいつをまともに扱えるのは一種の化け物」と言わしめるほどの運動性能や反応速度を誇ります。

 アレックスはニュータイプであるアムロの元へ渡される予定で、組み立て作業と調整テストが進められましたが、アニメ劇中では、アムロの元へ届けられることはありませんでした。もしアムロがアレックスに搭乗していたら、ジオン軍を圧倒していたかもしれません。