日本自動車界の“アベンジャーズ”再結集。HySE、新型バギーでダカールラリー2025参戦へ「水素エンジンの限界に挑戦」

 2025年1月3日から1月17日にかけてサウジアラビアを舞台に開催されるダカールラリー2025。カーボンニュートラルへ向けた次世代パワートレイン搭載車両のために設けられるクラス「Mission 1000 ACT 2」には今年も技術研究組合水素小型モビリティ・エンジン研究組合(HySE)が参戦する。

 HySEは水素小型モビリティ・エンジンの開発に向けた基礎研究を目的に、日本の自動車関連企業で構成される組合。カワサキモータース、スズキ、本田技研工業、ヤマハ発動機が正組合員を務め、特別組合員には川崎重工とトヨタ自動車、一般組合員として川崎重工とデンソーが所属している。まさに日本の大手自動車関連企業が叡智を詰め寄った“アベンジャーズ”だ。

 2023年5月に設立されたHySEは、今年1月に開催されたダカールラリー2024のMission 1000クラスに参戦。オーバードライブ・レーシング社製のT3シャシーをベースに、カワサキ製モーターサイクル向けの研究用水素燃料エンジンを搭載した新開発のバキーHySE-X1を投入し、クラス4位となった。

 HySEの挑戦は2025年も続き、“ACT 2”となったダカールラリーのMission 1000クラスへ再び参戦することを発表した。

 新型マシンHySE-X2では、水素エンジンに高回転域での出力特性の向上や低回転域での燃費改善が施され、車両レイアウトの変更により水素タンクも増設するなどの改良が施された。

 ドライバーは、ダカールラリーバイク部門総合10位(2000年)やダカールラリー4輪部門総合22位/T1クラス総合1位(2004年)といった記録を持つ池町佳生。コ・ドライバーはポルトガル人のパウロ・マルケスが務める。

 HySEダカール2025現地責任者を務めるスズキの甲斐大智は、2回目の挑戦に向けて次のように意気込んだ。

「2025年のダカールラリーにエンジンおよび車体をさらに進化させたHySE-X2で参加することとなりました」

「2024年のHySE-X1で抽出した課題の対策効果を確認すること、エンジンのさらなる限界領域にチャレンジすることで水素小型モビリティ・エンジン技術へ貢献します」

■水素燃料エンジン車HySE-X2の概要

・全長×全幅×全高:4000mm × 2000mm × 1900mm

・車両重量:1250kg

・エンジン種類/弁方式:水冷4ストローク直列4気筒スーパーチャージドエンジン/DOHC 4バルブ

・総排気量:998cc

・水素タンク:70MPa × 4本(前回は3本)

・水素搭載量:7.2kg