大阪市内を走る路面電車を「男性専用車両」として走らせるイベントが中止になったことが明らかになった。

 このイベントを計画したNPO法人「日本弱者男性センター」では、「11月17日に大阪で行なわれる予定でした男性専用車両イベントは中止となりました。大変申し訳ございません」と謝罪。その上で中止になった経緯を説明した。

 それによると、10月22日に路面電車を運行する阪堺電気軌道の担当者から、「社内で精査した結果、貸すことはできない」との通達があったといい、理由については「お答えできません」ということだったという。

 もっとも、同センターは昨年11月、東京都内を走る都電荒川線で、1日限定の「男性専用車両」のイベントを実施した実績がある。女性だけでなく、男性も性被害や痴漢えん罪被害などの不安や恐怖を抱えていることを訴えるのが目的で、参加者からは「冤罪トラブルに巻き込まれないためにも男性専用車両は必要だ」という声が上がった。

 実際、男性専用車両の導入を求める声は、これまでにもあった。《いつ、えん罪のターゲットにされてもおかしくない》《痴漢と間違われたくない》《女性ばかり優遇するのは不公平》などがその理由だ。「ジェンダー平等」が叫ばれる昨今だけに、このような声が上がるのは、むしろ当然の流れかもしれない。

 ところが、そんな中、にわかに注目を集めているのが「同性による痴漢」だという。

女性専用車両には女性をターゲットにした女性の痴漢もいて、被害女性は女性専用車両だと安心していた分、受けたショックも大きいといいます。仮に男性専用車両が稼働した場合、同様のケースが発生する可能性も考えられますね」(社会部記者)

 都電荒川線ではこれまでに3回、男性専用車両が運行されている。ただ、阪堺電車では実現しなかったように、他の鉄道各社でも男性専用車両の導入は見送られている。「同性による痴漢」を警戒しているのかは不明だが、今後も議論を呼びそうだ。

ケン高田

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