国内フリーエージェント(FA)権行使の申請期間最終日となった11月13日、阪神で7年連続2桁本塁打を続ける大山悠輔内野手が行使を表明した。15日から全球団との交渉が可能になる。

 そもそも大山と球団は相思相愛ではなかった。阪神は昨オフ“不動の4番”という評価で複数年契約を提示したが、大山がこれを拒否。「年俸2.8億円の単年契約」にこだわった(金額は推定)。そして、FAといえば巨人。1994年の落合博満氏を皮切りに各球団の4番経験者を毎年のように獲得した過去があるが、今回、久々に大型補強で大山獲りに動くようだ。

「ここ数年は球団フロントがFA選手獲得に消極的でしたが、10月30日、ジャイアンツ球場(川崎市)での秋季練習中、山口寿一オーナーが視察に訪れている。これは異例のことで、そのとき阿部監督とFA選手の補強の話をしたと思われます」(巨人担当記者)

 ただ、巨人がいの一番で狙っていたのは、今季26年ぶりに日本一となったDeNAの佐野恵太だ。

「外野だけではなく1塁もできる佐野を巨人は是が非でも欲しかった。ところが佐野はFA権を行使せず残留を表明。そこで大山に白羽の矢を立てたわけですが、阪神側はもともとその可能性が十分あると危惧していた。嫌な予感が的中しそうな勢いですね」(阪神担当記者)

 大山は今季130試合出場で14本塁打に終わったが、

「東京ドームは甲子園と比べ狭く、本塁打が出やすい。しかも巨人は不動の4番である岡本和真がメジャー移籍を熱望しているだけに、右の強打者は補強ポイントの一つ。さらに大山自身、茨城県出身なので移籍はしやすい」(夕刊紙記者)

 ただし、大山は年俸でチーム上位3人に入るAランクと見られ、FA移籍がまとまった場合は金銭補償、もしくは人的補償プラス金銭補償が必要となる。巨人は18年オフのFAで長野久義、内海哲也という投打のベテランが人的補償となっている。その放出が悪夢として記憶に残っているG党も多いだけに、物議を醸す移籍になるかもしれない。

小田龍司

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