元広島東洋カープ監督・野村謙二郎氏のYouTubeチャンネル『野村謙二郎のノムケンCHANNEL』にカープ駐米スカウトが出演。現在の外国人選手獲得事情を語った。
■元広島選手で駐米スカウトの3人が出演
元広島の選手で、現在は駐米スカウトのスコット・マックレーン氏、エリック・シュールストロム氏、ブラッド・エルドレッド氏がトークした今回の動画。
野村氏は3人に「僕のYouTubeで最近、どうして良い外国人が採れないのかというコメントが来るんだけど。スカウトの難しさを聞きたい」と質問した。
駐米スカウトを長年務めているシュールストロム氏は「2003年からスカウトを務めているけど、優秀な選手を見つけるのが難しくなっている」と語る。
続けて「過去にはタフィー・ローズやロベルト・ペタジーニ、アレックス・カブレラ、エルドレッドやマクレーンのように、打率も高くホームランを打つ選手がたくさん採れた。今ではほとんど不可能だよ」と力説した。
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■MLBの登録枠増加が要因?
野村氏から「良い外国人打者が採れなくなった理由」を質問されたマクレーン氏は「メジャーではDH制が導入されて、選手登録枠が少し増えた」と説明する。
さらに「メジャーで数人分でもキープされると、僕らが選手を見ることが難しくなる。以前はより高い評価の選手を日本に呼べたけど、今は減ってしまった。現在は同じような選手が多いと感じる。打撃の技術的なことを言ったら、キリがないけど」と苦笑いを浮かべた。
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■MLBで選手をキープされてしまう
マクレーン氏はメジャーリーグの出場登録枠が24人から26人に増えたことに触れ、「以前はエルドレッドのように、マイナーで成績を残した選手や出場登録枠ギリギリの選手を獲得できたけど、彼らをメジャーでキープされると日本につれてくるのが難しくなる」と持論を展開。
エルドレッド氏も「10年前まではマイナーリーグで良い成績を出していながらくすぶっている26、27番目の選手を良い状態で日本につれてくることができたけど、今はメジャー側にキープされている状態だから、非常に状況が苦しい」と語った。
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■最低年俸の上昇も
さらにエルドレッド氏は「今、メジャーの最低年俸が上がっていて、登録枠に名を連ねていればより多くの収入が得られる。彼らはそれで満足しているから、良い選手を獲得しづらくなっていると思う」と分析した。
その後もシュールストロム氏をはじめとする3人の駐米スカウトが、「圧倒的な外国人選手を獲得しづらくなっている背景」や「結果を残せない選手が増えた理由」を告白していた。
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■他球団では活躍する選手も
昨今圧倒的な成績を残す選手が少なくなってきたといわれる外国人野手。
とくにカープはここ数年苦しんでおり、直近では今回出演した2014年にホームラン王を獲得したエルドレッド氏を超える選手は出てきていない。
広島が苦しむ一方で、DeNAのタイラー・オースティン選手、ヤクルトのドミンゴ・サンタナ、ホセ・オスナ選手など活躍する選手も。
ただし一昔前のローズ選手、カブレラ選手、ペタジーニ選手、ウラディミール・バレンティン選手のようなホームランを量産する「圧倒的な選手」はいないのが現状だ。
■駐米スカウトが「圧倒的外国人野手」が来日しない理由を告白
(文/Sirabee 編集部・佐藤 俊治)