ここ数年、11月になると目にすることが増えた「ブラックフライデー」のセール告知。街中やインターネット上での賑やかな広告に、すっかり耳に馴染んだ方も多いのではないでしょうか。かつてはアメリカ発祥のイベントとして知られていたこのセールですが、日本国内でも「クリスマス商戦」に次ぐ一大イベントとして年々存在感を増しています。株式会社TimeTreeの研究機関「TimeTree未来総合研究所」が発表した最新の「未来データレポート2024年11月版」によると、ブラックフライデーに関連する予定が年を追うごとに急増しており、2024年には2019年の4倍以上もの予定数が登録されています。このような急成長の背景には、円安や物価上昇の影響が大きいとされており、今やブラックフライデーは消費者にとってクリスマス以上に魅力的なイベントになりつつあると考えられます。
国内で急成長するブラックフライデーの実態とは?
TimeTree未来総合研究所の調査によると、ブラックフライデーに関連する予定数は2019年から2024年の5年間で急増し、2024年には2019年の4倍以上に達しています。このデータは、ブラックフライデーが消費者の間で「見逃せないイベント」として定着しつつあることを裏付けています。特に、年々増加するセール参加の傾向は、今やクリスマス商戦にも匹敵する規模に成長しています。こうした傾向から、ブラックフライデーが一過性のイベントではなく、日本国内で新たな消費のピークとして根付き始めていることがうかがえます。
ブラックフライデーの魅力は11月だけにとどまりません。日本では近年、6月頃に行われる「夏のブラックフライデー」も人気を集めています。この夏のセールは、11月のブラックフライデーを待たずにお得な買い物をしたいと考える消費者にとって、待望のイベントとなっています。実際に、TimeTreeの予定データにも夏のブラックフライデー関連の予定が年々増加しており、夏季にも新たな消費のピークを迎えていることがうかがえます。このように、ブラックフライデーは季節を問わず消費行動に影響を与え、今後さらに浸透していく可能性が高いと考えられます。
さらに興味深いのは、20代から30代の若年層でブラックフライデーのセールを待ち望む傾向が特に強いことです。この世代は新しい情報を取り入れるスピードが速く、SNSやインターネットを駆使してお得なセール情報をいち早く入手し、計画的な買い物をすることに長けています。彼らにとって、ブラックフライデーはコストパフォーマンスを重視した賢い消費活動の一環となっているのではないでしょうか。
国内ECモールにおけるブラックフライデーの圧倒的な人気
2023年のデータによると、日本の2大ECモールであるAmazonや楽天市場では、ブラックフライデーシーズンが一年で最も盛り上がるセール期間であることが明らかになりました。11月下旬に集中するこのセール期間には、多くの消費者が商品購入を予定しており、消費者の注目度が高いことが数字にも表れています。クリスマス商戦以上に人々が期待を寄せるようになったブラックフライデーが、EC業界の年末の主役になっていると言えるでしょう。
日本のホリデー商戦が変わる!ブラックフライデーがクリスマスを凌駕
ブラックフライデーの波は、クリスマスシーズンをも超える盛り上がりを見せています。2014年に日本で初めてブラックフライデーを導入したトイザらスでは、2023年の予定登録データからも、この時期がクリスマスを超えるセールのピークになっていることが明らかになりました。おもちゃや子供用品の購入シーズンとされるクリスマスをしのぎ、多くの消費者がブラックフライデーのセールを待ち望むようになっています。この新たな消費トレンドは、実店舗においてもブラックフライデーが確固たる地位を築きつつあることを示しており、今後さらに広がりを見せることが予想されます。
TimeTree未来総研所長深川泰斗氏コメント
ブラックフライデーはアメリカ発祥のイベントで、11月の第4木曜日に行われる感謝祭の翌日に小売店を中心にセールが開催されます。日本での導入は2014年にアメリカに本社を持つ「トイザらス」が店舗でのセールを実施したのが最初と言われており、ここ10年ほどで定着してきたまだ歴史の浅いイベントです。
今回の調査結果では、2021年頃からコロナ禍の巣ごもり需要を機にブラックフライデーの予定登録が伸び始めたことが読み取れますが、今年は特に円安や値上げにより、大きく予定数が伸びたものと推測されます。
国内の小売の代表的な商戦としては、年末年始の方が広く知られている印象ですが、今回の調査結果からはブラックフライデーが一年を代表するセールイベントとして定着してきていることが読み取れたのではないでしょうか。
現状国内ではECサイト・ECモールでのセールが中心のブラックフライデーですが、今後よりイベントとして一般化するにつれ、発祥元のアメリカのように店舗でのセール開催も増えていくかもしれません。
データが映す消費の未来、ブラックフライデーがもたらす新潮流
ブラックフライデーが日本でもここまで浸透してきたことは、消費者の購買行動の変化を如実に示していると感じます。かつては年末のクリスマスや新年に焦点が当てられていた買い物シーズンが、今では11月のブラックフライデーにも大きな関心が集まり、日常的な消費者ニーズを反映したイベントへと成長しています。さらに、ECを起点としたこのセール文化が、今後リアル店舗にまで浸透し、実店舗とオンラインの両方での盛り上がりを見せる未来もそう遠くはないでしょう。
TimeTreeのデータから見えるように、私たちの生活や価値観は日々変化し、その時々において「何に価値を見出すか」がリアルに反映されています。こうしたデータは、消費者の行動や思考の一端を垣間見せてくれるだけでなく、未来のトレンドを予測する手がかりにもなり得ます。今後もTimeTreeのデータが、日本の買い物シーズンの変遷や新たな消費動向を明らかにしてくれることに期待しています。
TimeTree 未来総研について
TimeTree未来総合研究所は、全世界の登録ユーザー数が6,000万人を超えるカレンダーシェアアプリ「TimeTree」に登録された100億超の予定データを統計的に分析するTimeTreeの社内研究所です。多様性に溢れ、先の読めない時代においても、みなさまが納得して未来を選べるきっかけをつくるために、予定データから見える世の中の動きや未来の兆しを発信しています。
TimeTree未来総研Webサイト:https://timetreeapp.com/intl/ja/future-research-institute