わずか4試合でマンUに「豊かな遺産」をもたらしたファン・ニステルローイ暫定監督を国外メディアも称賛! その「5つの功績」とは?

 2022年夏よりマンチェスター・ユナイテッドを率いてきたオランダ人監督のエリック・テン・ハフが先月末に成績不振で解任されると、クラブは後任としてルベン・アモリムをポルトガルから招聘したが、その繋ぎの4試合で指揮を執ったのが、テン・ハフのアシスタントを務めてきたルート・ファン・ニステルローイだった。

 オランダ・サッカーのレジェンドストライカーで、指導者としてはオランダ代表のアシスタントコーチ、名門PSVの監督などを歴任してきた48歳は、プレミアリーグ第9節のウェストハム戦を最後にチームを去ったテン・ハフに代わり、緊急で指揮権を与えられると、それまでの公式戦8試合で1勝5分け2敗と苦しんでいた「赤い悪魔」で、3勝1分け・得点11失点3という好成績を残してみせた。

 カラバオ・カップ4回戦のレスター戦を5-2で制して白星スタートを切ると、続くプレミアリーグ第10節では強敵チェルシーと1-1の引き分け、ヨーロッパリーグのPAOK戦は2-0の勝利、そしてリーグ第11節もレスターを3-0と一蹴するなど、良い形でアモリム新監督にチームを引き渡すことに成功。そのため、暫定監督ながら高い評価が下されるとともに、チーム離脱が惜しまれることとなった。

 各メディアからも多くの賛辞が寄せられたが、それは英国に止まらず、スペイン・マドリードのスポーツ紙『MARCA』も、「ファン・ニステルローイが暫定監督として残した豊かな遺産」と題した記事で、かつてレアル・マドリーでもプレーしたオランダ人の働きを「彼は求められたことだけでなく、さらにそれ以上のことを成し遂げた」と称賛している。

 そして同メディアは、「4試合全てを本拠地オールド・トラフォードで指揮し、良い結果を出せて、良いゴールも決められた。毎秒が楽しかった」と語った彼が残した5つの功績を列挙。その1つ目には、「チームとスタンドをひとつにした」ことを挙げ、「緊張や不安が漂っていた中で、2001年から2006年までのマンU在籍中に219試合で150ゴールを挙げたストライカーは今回、団結の象徴になった」と綴った。
  2つ目は「チームに安定感を取り戻させた」こと。「ファン・ニステルローイは『革命』を起こしたわけでなく、彼はテン・ハフの戦術(4-2-3-1)を維持し、前監督と似たようなメンバーを起用したが、マンUに安定感を取り戻すことに成功した。監督としての360分間、チームは一度も負けておらず、168分間は同点、192分間はリードを保っていた」と綴った。

 また、3つ目として「ブルーノ・フェルナンデスを復活させた」ことを挙げた。テン・ハフの下では13試合無得点が続き、2度の退場処分を受けていたポルトガル代表MFが、この4試合で2得点・2アシスト、21度のチャンス創出という結果を出したことについて、「ファン・ニステルローイが提唱した『ケチャップ理論』が見事に当てはまった。これは、「ゴールはどんなに頑張ってもなかなか“出てこない”ものだが、一度出始めると一気に出る」というものである」と指摘している。

 テン・ハフとの最大の違いとして挙げたのは「中盤でのカゼミーロとマヌエル・ウガルテの同時起用」。これが4つ目の功績で、「彼らの連係が好きだ。お互いに上手くコミュニケーションをとっている。大事なのはプレスに出るタイミングを見極めることだ」(ファン・ニステルローイ)、「僕らは良い連係を見せている。お互いを補完し合っている。片方が上がれば、もう片方がカバーする」(カゼミーロ)といったコメントを紹介した。

 5つ目は「攻撃的なメンタリティー」を植え付けたことで、それがB・フェルナンデスだけでなく、様々なポジションの多くの選手による得点の増加をもたらしたと指摘。暫定監督は「攻撃のチャンスがあれば、それを活かして攻める。それが、ファンの見たいものだ。プレミアリーグや欧州で成功したければ、一定数のゴールが必要だ」と主張している。

「新監督アモリムを応援する。クラブを愛する全ての人たちにも、同じように応援してほしい」との言葉を残してマンUを去ったファン・ニステルローイ。ごく短い期間で彼が蒔いた種が、この後でいかなる花を咲かせるのか。新たなマンUの戦いぶりとともに、非常に興味深いところだ。

構成●THE DIGEST編集部

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