蝶野正洋(C)週刊実話Web
メジャーリーガーの大谷翔平選手が所属するドジャースが、ワールドシリーズ(WS)制覇を果たした。
第2戦で大谷選手が左肩を負傷したときはヒヤッとしたけど、休むことなく出場を続けたのも気迫を感じたね。
ドジャースは大谷選手だけでなく、柱となる実力派選手がそろっているから頼もしい。
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MVPを取ったフレディ・フリーマン選手も良かった。誰かが調子悪いときは、他の誰かが活躍して穴を埋める。チームとして理想的だよね。
それにしても、大谷選手は別格の存在感だ。もはや「大谷翔平=メジャーリーグ」というか、野球選手の象徴になったと思う。
ただ、大谷選手が記録的な活躍をしたことで忘れがちだけど、今年のシーズン当初は不安視する声もあったんだよね。
史上最高額の契約金でドジャースに移籍したけど、肘の手術で二刀流を封印してバッターに専念することになり、そこまでの価値があるのかという意見もあったし、通訳を務めていた水原一平氏の不正送金スキャンダルの被害にも遭った。
しかし、大谷選手はそんなネガティブな雰囲気を素晴らしいプレーでひっくり返した。
ホームラン、盗塁を量産して「50-50」の偉業を達成し、他にも数々の新記録を打ち立ててリーグ優勝、そしてWS制覇。1年も経ってないのに中身が濃すぎるというか、漫画化してもすごいボリュームになりそうだよ。
報道とパパラッチのゴシップは別物
一方で、フジテレビのWSに対する報道姿勢が物議を醸した。優勝を決めたあと、フジテレビの取材陣がグラウンドにいた大谷選手にコメントを取ろうとしたところ、大谷選手が顔をしかめている場面が放送された。
これは大谷選手の新居を空撮するなど、フジテレビが執拗に取材したことに対して怒っているとか、取材レポーターの元木大介さんが大谷選手の愛車の写真を撮って、SNSに上げたことが原因とか、さまざまな臆測が流れている。
でも、これは仕方がないよ。アメリカではスポーツ報道と、パパラッチのゴシップは明確に違う。
日本のテレビ局はワイドショーで政治もスポーツもゴシップも一緒にやるから、どこからが報道で、どこからがバラエティーなのかの線引きが曖昧になっている。
アメリカの選手・球団からしてみれば、対応できないのも致し方ない。
また、日本シリーズの生中継の裏で、フジテレビがWSの録画中継をぶつけて放送したことに対して、日本野球機構が不快感を示し取材パスを没収したという報道もあった。
俺はWSをBS放送で見たけど、地上波で放送するのはいいことだと思う。
夜にダイジェスト版を放送するのも、昼間は働いていて生中継を見れなかった人にとっては、すごくありがたいよね。
ただ、フジテレビがこれをやると、自己中心的な視聴率優先主義に見えてしまうし、社内の各部門と連携が取れてないことも伝わってくる。
編成部、スポーツ部、バラエティー班がそれぞれ動くから、あいさつするべき所に話が通ってなかったりするんだろうね。
大事なのはチームワーク。大谷選手とドジャースの活躍を見て、日本のテレビ局もそれを学ぶべきかもしれないね。
「週刊実話」11月28日号より
蝶野正洋(ちょうの・まさひろ)
1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。