マイケル・ジョーダン、スコッティ・ピッペン、デニス・ロッドマンの三銃士を擁した1995-96シーズンのシカゴ・ブルズは、当時のNBA記録となる72勝(10敗)をあげ、フランチャイズ史上4度目の優勝(その後3連覇を達成)を果たすなど、史上最高のチームの筆頭候補に挙げられる。
彼らの対抗馬のひとつは2015-16シーズンのゴールデンステイト・ウォリアーズとされてきたが、ブルズOBのロン・ハーパーは“仮想対決”の勝利に自信を見せている。
95-96シーズンのブルズはジョーダン(平均30.4点、6.6リバウンド、4.3アシスト)、ピッペン(平均19.4点、6.4リバウンド、5.9アシスト)、ロッドマン(平均14.9リバウンド)のスーパースタートリオを、、守備職人のハーパー(平均1.31スティール)、218cmのセンター、ルーク・ロングリー(平均1.35ブロック)、シックスマンのトニー・クーコッチ(平均13.1点、3ポイント成功率40.3%)、シューターのスティーブ・カー(3ポイント成功率51.5%)らいぶし銀のタレントがサポート。フィル・ジャクソンHC(ヘッドコーチ)の下でトライアングル・オフェンスを極め、圧倒的な強さでリーグの頂点まで駆け上がった。
そのブルズの記録を塗り替えたのが、15-16シーズンのウォリアーズだ。ステフィン・カリー(平均30.1点、3ポイント成功率45.4%)、クレイ・トンプソン(平均22.1点、3ポイント成功率42.5%)、ドレイモンド・グリーン(平均14.0点、9.5リバウンド、7.4アシスト)ら生え抜きスターが躍動し、73勝9敗の金字塔を打ち立てた。
“最強チーム”を議論する際に名前が挙がる両チームだが、1994~99年にブルズでプレーしたハーパーは、自分たちの勝利を確信しているようだ。ブルズの前期3連覇(91~93年)を知るOBステイシー・キングがホストを務める番組『Gimme The Hot Sauce』で、「(ウォリアーズの)73勝は素晴らしく聞こえるが、(ブルズの)72勝には優勝リングが付いてくる。リングがなければ、一番偉大な存在にはなれない」と、自分たちとの“違い”を指摘した。
キングは「君に同意するよ。人々は、ゴールデンステイトはブルズを倒せると言うが、正直、ブルズは彼らを倒せると思う」と主張し、「そこには問題がある。ロン・ハーパーが身長198cm、マイケル・ジョーダンが身長198cm、スコッティ(ピッペン)が身長201cm。それに対して彼らはみんなガード(のようなサイズの)プレーヤーだ」と続けた。
誰が誰にマッチアップするかという話になると、ハーパーは「誰が(身長188cmの)ステフ・カリーを守るんだい?」と尋ね、「私は走って、ポストプレーをする」とミスマッチを突くと宣言した。
カリーとトンプソンのシューターコンビを擁した当時のウォリアーズは、1試合平均31.6本の3ポイントシュートを放ち、成功率41.6%をマーク。コートのどこからでも得点を奪えるのは強みだが、それが逆に弱点にもなり得るとハーパーは語る。
「もし彼ら(ウォリアーズ)が、“息を吹きかけてはいけない”という現代のルール(ハンドチェック禁止)でプレーするなら、すぐにファウルになってしまう。我々の時代はもっとフィジカルだったからね。でも我々はどんなバスケットボールスタイルにも適応できた。
そして、現代のゲームの問題点は、3ポイントシュートを60本打つことになれば、30本は外すということだ。3ポイントでは勝てないが、2ポイントでは勝てる。試合中、ずっとキャッチアップ(本来の自分のマークマンでなくても、相手選手のマークに付くこと)するバスケットボールをしないといけない。もし彼らが3ポイントを8本外し、1~2本を決めても、私たちはすべての2ポイントを決める」
また、ロッドマンとグリーンの対戦において、ハーパーは「デニス・ロッドマンはシャック(シャキール・オニール/身長216cm)やアロンゾ(モーニング/身長208cm)を守っていたんだ。よくバスケットボールであることを忘れて、戦っていたよ」と、笑ってロッドマンに軍配を上げていた。
構成●ダンクシュート編集部
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