千葉県市原市中高根のラブホテルで11月1日早朝、女性従業員の佐伯仁美さん(56)が手首を縛られた状態で殺害され、売上金などが奪われる事件があり、県警は同13日、元従業員で会社員の江川敦容疑者(47)=市原市光風台=を強盗殺人容疑で逮捕した。
逮捕容疑は10月31日午後11時50分から翌日朝の午前7時25分ごろまでの間に、同ホテルで勤務中の佐伯さんを殺害、現金数万円を奪った疑い。
56歳という実年齢より、かなり若く見える方だった
佐伯さんは夜間に一人で勤務しており、出勤した女性店長が首や腹に刃物で切られたような痕があり、手首を縛られた状態で死亡していたのを発見して通報。県警捜査1課が市原署に捜査本部を設置して捜査していた。
「佐伯さんの遺体は首を絞められたうえ半分以上ざっくりと切られており、体にも複数の打撲痕と刺し傷があった。立ち会った捜査員が絶句するほどの状態だった」(社会部記者)
現場はJR内房線姉ケ崎駅から南東約6.5キロ、周囲に畑が広がる場所にあり、各客室に駐車スペースが付随した郊外型のモーテルタイプのホテル。
佐伯さんはフロント内の従業員スペースに倒れており、ホテル内から血の付いた刃物が見つかっていた。ホテル側の申告などから奪われた現金は約1万2000円とみられる。
江川容疑者は調べに対し、「殺して金を奪ったのは間違いない」と容疑を認めており、捜査本部は佐伯さんとのトラブルの有無を含め、動機や犯行前後の足取りなど裏付けを進めている。
この事件では発生の経緯などから、「闇バイト」による強盗殺人事件の可能性もあるとみて、県警が「自宅の戸締まりには十分注意するとともに、不審な人物を見た等の情報があれば、市原警察署までお知らせください」と防犯対策をメールで呼びかけていた。
ホテルの近隣住民は取材にこう語った。
「警察も当初から色々聞き込みをしていたそうですが、知人の話では、事件が起きてから10日後くらいには江川容疑者のことを聞き回っていたようです。その知人は、江川容疑者がホテルに勤務していた際に見かけたことがないか尋ねられたそうで、江川容疑者の現在の勤め先は配管工事関係の会社ということのようでした。
被害女性の交友関係についても詳しく聞かれたそうなので、ただのお金絡みではなく、何か交際関係のもつれの可能性もあるのかなって思いました。というのも亡くなった佐伯さんは、56歳という実年齢よりかなり若く見える方だったそうです。
佐伯さんあてによく配達に来ていた配達員の方が、何度かロックか何かのコンサートのチケットを届けたことがあって、普段スパンコールとか着ていてどう見ても40代にしか見えなかったみたいですから。まだあのホテルで働き出して3ヶ月くらいだったそうですから、あんな事件に巻き込まれて本当にかわいそうですよね」
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“エガちゃん”と呼ばれ「おとなしくて真面目」な職人だった
父親と2人暮らしだったとみられる江川容疑者の自宅は、比較的新しい戸建てが建ち並ぶ閑静な住宅地の一角にあり、その中でも大きな一戸建てだ。現場のラブホテルまでの距離は3.6キロほどで、車なら10分程度で行ける。
近くに住む男性はこう証言した。
「お父さんは町内会の役員を務めていた事もあるので存じ上げていますが、息子さんがいたというのは知りませんでした。お父さんは過去には建設業をやっていたそうですが、もう80代くらいの高齢なので、今は働いてないと聞いていました。
ただ、それなのに建築現場にあるようなトラックが自宅に出入りしていたので、誰か他にも人が住んでいるのかなとは思っていましたが、一回も見たことはありません。それくらい付き合いのないかたです」
別の住民男性もこう首を傾げる。
「息子は見たことないな。江川さんがここに越してきたのはもう10年以上前で、息子さんはその頃は家に住んでいなかったんじゃないかな。それくらい見かけなかったよ。
ここに引っ越してくる前も2キロ先くらいの戸建てに住んでいたんだけどさ。そこには今は娘さんが住んでいるみたいだけど、何で別々に暮らしているのかまではよくわからない。
こっちに引っ越してきた時も離婚したからとか色々噂にはなってたけど、お父さん本人からは聞いてない。息子がいるって話も聞いてなかったから今回逮捕されて初めて知ったって感じだよ」
近隣との交流がほとんどなかった江川容疑者は、一部報道によると知人から“エガちゃん”と呼ばれ「おとなしくて真面目」な職人だったという。
佐伯さんとの間に何があったのだろうか。千葉県警は14日、江川容疑者を強盗殺人の疑いで千葉地検に送検した。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班