「踊る大捜査線」シリーズの12年ぶりとなる最新映画の後編『室井慎次 生き続ける者』の初日舞台挨拶が11月15日にTOHOシネマズ日比谷で行われ、柳葉敏郎、福本莉子、齋藤潤、前山くうが、前山こうが、筧利夫、真矢ミキ、松下洸平、本広克行監督が出席。室井という役柄への想いをと周囲への感謝を語った柳葉が、涙をあふれさせた。
『室井慎次 生き続ける者』の初日舞台挨拶が行われた
1997年の連続ドラマ開始以来、熱狂的なファンを生みだし、社会現象を巻き起こした「踊る」シリーズ。プロデュースの亀山千広、脚本の君塚良一、監督の本広が再集結し、音楽には武部聡志が参加。シリーズの登場人物の一人である室井慎次を主人公に、警察を辞め、故郷の秋田に帰った室井に再び事件の影が忍び寄るさまを描く。2部作の前編となる『室井慎次 敗れざる者』は10月11日より公開され、公開27日間で観客動員数100万人を突破。「踊る」シリーズの累計興行収入が500億円を超えたことも、話題を呼んだ。上映後の会場から大きな拍手を浴びて登場した柳葉は、「すべてはここにいらっしゃる人たちに支えられて出来上がった作品です。幸せな時間を過ごさせてもらいました」と舞台挨拶冒頭から、感謝の言葉を口にした。
柳葉敏郎、室井慎次は「親友」
「当初はこのお仕事は受けまいと思っていた」と告白した柳葉は、「自分が生まれ育った場所で作品をつくってもらえるなんていうことは、役者としてはこの上ない幸せ」と故郷である秋田での撮影に感無量の面持ちを見せた。続けて「地元でのロケの時はそこかしこにいらっしゃる人たち、すべてに感謝の想いで過ごさせてもらいました。今日という日を迎えられてホッとしているんですが、2人(前山くうが&こうが)に『柳葉さん、顔が赤いね』と言われて、すごく興奮している自分に気がついた」と特別な作品の初日を迎えた心境を吐露。完成した作品は妻と鑑賞したそうで、「不思議なことにカミさんと自分の涙するところが違う。なんでだろうと考えてみると、自分は室井になって観ている。室井の涙なんです。あれは自分でも初めての経験でした」と室井と一体化しながら、涙を流したという。
前山くうが、前山こうがの“室井モノマネ”に照れ笑い
さらに司会から「室井はどういう男でしょうか?」と尋ねられた柳葉は、「カッコいいっすね。改めて思いました。カッコいい親友を持ちました」と力強く「親友」だとコメント。「27年間、彼と付き合ってきた。彼はいろいろなことを教えてくれました。いいことも、そうでもないこともあり。親友ってそういうもんなんだなと。27年間の彼との付き合いを、柳葉敏郎の人生に活かせたらいいなと思っています」と心込め、「悔いなく、室井慎次の人生を送ることができました。ありがとうございます」と清々しく宣言し、大きな拍手を浴びていた。
青島イズムを大切に演じたという松下洸平
警視庁捜査一課に所属し、まっすぐで熱い性格の桜章太郎を演じた松下は、「踊る」シリーズの大ファンだったとのこと。「その作品の一部になれていることは不思議な感じ」と感激しながら、「クランクインする前に、『桜は青島刑事の匂いがする人でいてほしい』と言われた。なにその無理難題と思って。できるわけないじゃないですか!」と織田裕二演じる青島の名前を出されたと訴えて、周囲も大笑い。「遠く及ばないですけれど。桜にも、青島さんのような組織に縛られない形でマイウェイを進んでいく感じがたしかにあった。青島さんイズムのようなものを、ちょっとでも感じていただけたらなと思っていた」とくらいつくように役作りしたと明かすと、柳葉は「(青島イズムを)思い切り感じた!室井が、もうひとつ背筋を伸ばさせてもらった」と松下演じる桜から大いに刺激を受けたと話していた。
筧利夫&真矢ミキも、柳葉敏郎に感謝
また沖田役の真矢は、「私のなかに沖田が住んでいた」と沖田に愛情を傾けつつ、「室井さんには、柳葉さんの温かい人柄や、寡黙ななかにあるやさしさがダダ漏れ」と語り、新城役の筧は「柳葉敏郎、ありがとう!」と声を大にしたほか、キャスト陣が「柳葉さん」というところを「室井さん」と呼んだりと、柳葉と室井を混同させながらにぎやかなトークを繰り広げたこの日。そのなかで柳葉は「ありがとう」と何度も感謝を口にし、何度も目頭を熱くしていた。
【写真を見る】柳葉敏郎、「室井さん、ありがとう!」の声にアツい涙
最後には「自分にとって室井慎次は、嘘偽りなく大親友です。ここにいらっしゃる方々が室井慎次を支えてくれました。かつての室井慎次は、信念を持ちながらもそれを達成できなかった悔しさを持っていた。彼らのおかげで、室井慎次はひとつの小さな信念を通すことができました。皆さんも自分の環境のなかで小さな信念を求めて、幸せになってください」とメッセージ。「室井慎次は、破れざる者であり、生き続ける者。柳葉敏郎は幸せ者です。ありがとうございました」と続けた。観客からは万雷の拍手と「室井さん、ありがとうー!」の大合唱となり、柳葉は涙を流しながら深々とお辞儀をして会場をあとにした。
取材・文/成田おり枝