みなさま、グルクンはご存じですか? グルクンは沖縄の県魚で、日本で一番最初に県魚として制定された魚として有名ですね。

見るからに南国を思わせるトロピカルカラーなこの魚は、沖縄ではお馴染みの南方魚界の大スターなのですが、関東ではあまり見かけません。

私は麗しい南国のカラフルな魚の見た目が大好きなので、「いつか食べてみたいなー」と思いながら行きつけの魚屋「海鮮市場マルモト」(神奈川県伊勢原市伊勢原1-3-37)の地魚・未利用魚コーナーをのぞいてみたところ

おお! 若くて小さい個体だけどたくさんいるー!!

グルクンの食べ方を考えていると、マルモトの田中店長が「グルクンとタカベって似てると思うんだよね。塩焼きにして食べ比べてみて!」とアドバイスをくれたので、タカベも購入し食べ比べてみます!

ニセタカサゴ(グルクン)

本来グルクンは「タカサゴ科クマササハナムロ属のタカサゴ」を指すらしいのですが、タカサゴ科にはタカサゴに激似のニセタカサゴなどがいるため、流通上はタカサゴ科は全て「グルクン」と呼ぶみたいです。

タカサゴとニセタカサゴの見分け方ですが、沖縄県公式HPに掲載されている「沖縄県水産海洋技術センター資料」が分かりやすかったのでそちらを引用させていただきます。

▲出典:https://www.pref.okinawa.jp/fish/kenkyu/kankobutu/okinawa-no-imaiyu-data/08_gurugunDNA.pdf[リンク]

体中央付近に流れる黄色ラインと黒い細い線が重なっていなかったらタカサゴで、重なっていたらニセタカサゴだそうです。

今回購入した子たちを見てみると

黄色ラインと黒い線が重なっているので、どうやらニセタカサゴのようですね。

ちなみ「イッセンタカサゴ」という種もいて、その種も含めると本当に見分けがつかないので同定に自信がないです…ニセタカサゴで合ってると思うんだけどな(・∀・;)

なおタカサゴもニセタカサゴも生きてる時は青い魚で、水揚げされると赤に変化します。

今回頂いてきたこの子たちも、鮮度が良いので鮮やか青が見てとれます! キレイ!!

さて、このカラフルな魚は一体どんなお味がするのでしょうか? 食べてみたいと思います!

本日のお品書き

・刺身

・塩焼き

・唐揚げ

で頂きます。

ニセタカサゴの刺身

鮮度落ちが早いとの噂を確かめるべく、エラと内臓を抜いて(ウロコはつけたまま)からキッチンペーパーとラップで包み、4日間寝かせてみました。

少し血合い近辺が茶色く変色しているものの、傷んでいるようには見えませんね。4日間も寝かせていたのに非常にみずみずしいです!!

では頂きます(。・н・。)パクッ

水分量の多い身で、柔らかく少しネットリした食感をしています。

最初は味がなく美味しくないと思いきや、噛むごとに甘みが出てきて、脂の旨みも感じます。

ニセタカサゴはもともとあまり脂がのる魚ではないとよく聞くし、しかも旬ではないためアッサリしているかと思いきや、結構脂のってます!

ただ残念ながらうま味は弱いです。4日熟成でも弱いので、寝かせてもうま味を引き出せないタイプの魚っぽいです。

しかしうま味の少なさは脂と甘みが補ってくれますし、血合いは鉄の匂いが強めですが、それ以外はクセもなく上品で食べやすい魚だと思います。

特に「美味しい!」というわけではないのですが、普通に美味しいお刺身だと思います。

そして4日寝かせても美味しく頂けたので、そんなに鮮度落ちが早い魚ではない気がします。

(とはいえ寝かせてもうま味が強くなるわけでもないので、早く食べてしまったほうが良いのは確かです)

ニセタカサゴの塩焼き

塩をふって焼き上げました。

(´~`)モグモグ

身の水分量が多く、ふわっふわの練り物っぽい身質です。肉の繊維がもろいので自然に口の中でほどけていきます。

でも加熱すると身が硬くしまるという食味レビューも見られるので、味や食感は産地や時期によって大きく変わる魚みたいですね。

総じて海魚よりも川魚に近い味・食感かなぁ。

味はうま味の薄い鯛みたいな感じです。

塩焼きの王者タカベと比べると……確かに身質は似てると思います。

が、うま味の濃さ、皮目の野性的な香りや脂の香ばしさはタカベに及ばないので、

ジェネリック版タカベといったところでしょうか。

でも普通に美味しい焼き魚ですよ!

ニセタカサゴの唐揚げ

グルクンの唐揚げは特徴的な飾り包丁(?)の入れ方をします。

中骨・背骨に沿って2か所切れ込みを入れます。たぶんなのですが、背骨が硬いので切れ込みを入れて骨まで火が入るようにすることで、骨をサクサクにするのではないかと推測してます。

塩をふって30分ほど冷蔵庫で休ませてから、小麦粉と片栗粉を半々ぐらいにブレンドした粉をまぶして揚げます(私は自分の好みで2度揚げにしました!)。

もともとの赤色も相まって、とてもカラッと香ばしく揚がった見た目で美味しそう! では頂きます。

頭と尻尾は食べられますが、背骨は硬いので食べずに避けたほうが無難です。特に小さいお子さんには背骨は食べさせないほうが良さそうです。

そして小骨もちょいちょい口にささる(´~`)

食感は焼き魚の時と同じく、すり身っぽくフワフワで柔らかいです。

相変わらずうま味が強いわけではないけど、クセがなく淡白な味わいのお魚なので飽きがこないし、純粋に衣の香ばしさが味わえて美味しいです!

これは南蛮漬けも合いそうですԅ(¯﹃¯ԅ)

ニセタカサゴの評価

星3.5

うま味が弱いことと骨が硬いこと、生息環境や時期によって味が大きく変わるらしいのでギャンブル率が高いことが少しマイナス点です。

でもクセもなく上品で淡白な味わいなのでどんな味付けや料理にも合いそうだし、値段もお手頃なので、冷凍庫にしまっておけばお惣菜魚として大活躍しような予感です。

特に唐揚げは小さい子供も喜んで食べてました!

次はぜひタカサゴを食べて、ニセタカサゴと食べ比べしたいですね(・∀・)

もし魚屋の地魚・未利用魚コーナーでニセタカサゴを見かけた際は食べてみてください(゚∀゚)

※引用したグルクンの見分け方画像以外は全て筆者撮影

海鮮市場マルモト

https://www.0-to.com/[リンク]

(執筆者: ゆずくん)