バンケロ離脱も“代理エース”フランツ・ヴァグナーの活躍で5連勝を飾ったマジック「自分にとっていいチャレンジになっている」<DUNKSHOOT>

 現地時間11月15日(日本時間16日、日付は以下同)、「エミレーツNBAカップ」(旧インシーズン・トーナメント)はグループステージ2日目を迎え、オーランド・マジックはホームのキア・センターでフィラデルフィア・セブンティシクサーズを98-86で撃破した。

 これでマジックは12日のシャーロット・ホーネッツ戦も含めてイースタン・カンファレンスのグループAで2連勝。全体では8勝6敗(勝率57.1%)でカンファレンス3位につけている。

 昨季4シーズンぶりのプレーオフ出場を果たしたチームは今季、3勝1敗と好スタートを切ったものの、5戦目のシカゴ・ブルズ戦でパオロ・バンケロが右腹斜筋断裂のケガに見舞われ、約6週間の戦線離脱が発表された。

 キャリア3年目のバンケロは開幕から平均29.0点、8.8リバウンド、5.6アシストの好成績を残しており、マジックにとっては大きな痛手に。事実、チームはブルズ戦から5連敗を喫し、3勝6敗(勝率33.3%)と苦しんでいた。

 しかし、そこからチームは持ち直し、8日のニューオリンズ・ペリカンズ戦から15日のシクサーズ戦まで5連勝をマークしている。
  バンケロ離脱後、“代理エース”としてオフェンスを牽引しているのが4年目のフランツ・ヴァグナーだ。ドイツ代表の主力でもある208㎝・100㎏のフォワードは、4日のオクラホマシティ・サンダー戦から7試合連続で20得点以上、シクサーズ戦ではゲームハイの31得点、11リバウンド、6アシストのパフォーマンスを演じた。

 14日に米スポーツ専門メディア『The Athletic』へ公開された記事の中で、ここまで平均22.2点、5.6リバウンド、4.8アシスト、1.5スティールをマークしているヴァグナーは好調の要因を次のように話していた。

「メンタル面を少し切り替えたことがうまくいっているんだと思う。今まで僕はオフボールでたくさんプレーしてきた。そこでいつもいいショットを打てていたんだ。ミッドレンジショットを打つこともあったけど、それが必然的に根付いていたわけじゃないし、小さい頃に誰かから教わったわけでもない。自分にとっていいチャレンジになっているよ」

 ヴァグナーはアグレッシブなドライブを武器にコンスタントに2桁得点をマークしてきたが、マジックではバンケロ、ドイツ代表でもデニス・シュルーダー(ブルックリン・ネッツ)に次ぐ2番手だった。
  だがバンケロを欠いたことがヴァグナーを“ゴー・トゥ・ガイ”へ覚醒させ、チームにも好影響をもたらしていると言えるだろう。

 もちろん、マジックはバンケロとヴァグナーだけのチームではなく、ジェイレン・サッグスやケンテイビアス・コールドウェル・ポープ、フロントコートにもウェンデル・カーターJr.や兄のモリッツ・ヴァグナー、ジョナサン・アイザックら優秀なロールプレーヤーが揃っている。

 連勝中はすべての試合で相手を95得点未満に抑える好守を見せ、この期間中のディフェンシブ・レーティングはリーグ1位の92.9を記録するなど、自慢の守備を強化して連敗から脱出したことも見逃せない。
 「シーズンは長いんだ。そこには浮き沈みもある。いいチームは不調に陥った時にすぐさまそこから脱却する方法を見出すんだ。その点、僕らは大きく前進したと思う」(ヴァグナー)

 レギュラーシーズンは82試合の長丁場だけに、今後チームが不調に陥ることもあるだろう。それでも、大黒柱のバンケロを欠いても強固なディフェンスを展開しているだけに、大崩れせずに切り抜けることができるかもしれない。

文●秋山裕之(フリーライター)

球団史上最年少の50得点に幻の同点弾。マジックのバンケロが歩むNBA次世代スターへの道<DUNKSHOOT>

“スーパースター候補”バンケロを中心に2年連続の躍進が期待されるマジック。王者セルティックスの2大OBも警戒<DUNKSHOOT>

「もっと良くなるだろう」バンケロが今季のマジックに自信「イーストを勝ち上がるチャンスだってある」<DUNKSHOOT>