テニス競技はメンタルによって大きく結果が左右されるスポーツです。しかし、メンタルを強化したいけれど「なんか大変そうだ」と敬遠している人はいないでしょうか。
本シリーズでは一般プレーヤーに向けて、伊達公子氏や浅越しのぶ氏といった日本テニス界をけん引したトップ選手の指導経験を持つメンタルアドバイザー椙棟紀男氏に、簡単に身に付くメンタルの強化方法を伝授してもらいます。
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日本一の山は「富士山」だということは小学生でも知っています。では、二番目に高い山を知っていますか?
スポーツの世界では結果が全てと言われ、多くの選手が“てっぺん”を目指して一生懸命に努力をしています。このナンバーワンに対する気持ちは、自分を突き動かす原動力にもなり、個人的には絶対に必要なものだと思っています。さて、最近の若者の傾向として、自分をあまりアピールしません。おとなしくて横並びを好む傾向にあります。本当にそれでいいのでしょうか?
せっかくスポーツの世界にいるのなら、「もっとうまくなりたい」「試合に勝ちたい」という、誰にでもある“負けず嫌いの気持ち”をもっと前面に押し出してもいいのではないかと思っています。
「スポーツから学ぶ」とは、より高みを目指す自分、へこたれない自分を育て上げることなのです。学生ベンチャーのパイオニアとして知られる京都の堀場製作所の堀場雅夫氏の言葉に『出る杭は打たれるが、出過ぎた杭は誰も打てない。出ない杭、出ようとしない杭は、居心地はよいが、そのうちに腐る』があります。
てっぺんを目指して努力している人は「出る杭」になるかもしれません。そこで諦めず「出過ぎた杭」になることです。横並びを選んでいる人は、「出ない杭、出ようとしない杭」です。
結果が全てではないけれど、長い人生を考えてみると、一度や二度「あの時はやり切った!」と胸を張って言える、頑張った経験を残しておきたいものです。そして、自分の長所を生かして「この分野で一番になれた」と思えた時「オレにもできた!」と自己肯定感が生まれ、人は大きく伸びるキッカケを手にできます。一度てっぺんに立つことには、それほど大きな意味があるのです。
冒頭の質問ですが、日本で二番目に高い山は「北岳」(3193メートル)です。すぐに答えられた人は少ないのではないかと思います。これほど1位と2位には大きな差があります。
人生には、色々な一番があります。テニス仲間の間での「サービスが一番」「試合運びが一番」「応援するのは一番」「思いやり一番」「アイディア力は一番」など……。自分の得意分野は何ですか? 長所を武器にその分野で、てっぺんを目指してほしいと願っています。
構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2021年12月号から抜粋・再編集
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