日本の夏は年々暑さを増している!
メンテナンスの行き届いたグリーンのことを考えると「また2グリーンに」という温故知新の考え方が必要だ!
1グリーンへの改修がトレンドだった
》現状を見たら2グリーンが最良のゴルフ場管理術!?
ハローエブリバディ!今夏は人生で一番暑い夏となったと思うが、みなさんの感想はいかが?
日本の各地のゴルフ場は、芝焼け、グリーンの根枯れとカビに苦戦したことだろう。地球温暖化におけるゴルフ場へのダメージは、日本だけではなく世界各地でも頭を抱える問題でもある。世界一のゴルフ大国、アメリカでも日本と同じ問題を抱えていて、解決策はグリーンキーパーの腕次第?いや、そんなに簡単ではないのだ。
しかし、四季のある日本では、ある特別な方法でゴルフ場を作ってきたのだがおわかりだろうか。素晴らしい文化があったのですよ。
それは「2グリーン」。サマーグリーンとウィンターグリーン、高麗グリーンとベントグリーン、AグリーンとBグリーンなど、コースによって呼び方は違うが、要はひとつのホールにふたつのグリーンが存在しているゴルフ場のことだ。
日本は島国で四季があり、気候区分は「温暖湿潤気候」、または「温暖大陸性気候」に属するが、北は北海道から南は沖縄まで気候はバラエティに飛んだ国である。ホールに配置することに決めたの気候がはっきりしている北海道や沖縄は1グリーンのコースが主流。
沖縄にウィンターグリーンと呼ばれるベント系(寒冷地仕様)の芝を植えれば、どのようになるかは想像できるだろう。逆に北海道に沖縄で植えられている高麗系、バミューダ系の芝(夏芝)を植えれば、芝の特徴である緑に発色して成長する期間が少なすぎて、まったく芝の機能を発揮することができない。
そこで本州のゴルフ場は、ふたつのタイプのグリーンをひとつのホールに配置することに決めたのだ。日本のゴルフ黎明期にベント造を採用したのは、名門の東京ゴルフ倶楽部・朝霞コース、広野ゴルフ倶楽部・広野コース。しかし、日本の温暖湿潤気候には管理が厳しく、のちに高麗芝グリーンとの2グリーンへの改造を余儀なくされた。
その後、バブル経済時、海外の名コースデザイナーの設計とともに、ベント芝の研究開発が進み、ハイブリッド型のベント芝も登場。1グリーンが主流になり、再度2グリーンから1グリーンへ改造をしたコースも多い、がぁ!
2000年代に入ると地球温暖化が注目されるようになり、日本のゴルフ場を管理するキーパーたちがこぞって高麗系芝(バミューダ芝)の導入を再考しはじめた。
世界広しといえども「2グリーン」を有するゴルフ場は日本ゴルフ文化の真骨頂。ゴルフ専門家、ゴルフ設計家の大先生たちがーゲットスポーツのゴルフに目標がふたつはおかしい!”などと仰いますけど、温暖湿潤から熱帯、亜熱帯化している日本気候の現状では、先人たちが考え抜いた2グリーンが最良のゴルフ場管理術だったのかも。『温故知新』という言葉を1グリーン推進者たちへ送りたい。
いかがでしたか? 2グリーンが世界で主流になる日も近いかもしれませんね。
タケ小山
●小山武明(こやま・たけあき)
1964年生まれ/東京都出身/プロゴルファー、ゴルフ解説者。テレビ「サンデーモーニング」(TBS)ラジオ「Green Jacket」(InterFM897)ほか、多数メディアで活躍。
イラスト=北沢夕芸