若手芸人の登竜門である「ytv漫才新人賞」(読売テレビ)が3月2日に開催された。霜降り明星の粗品が初めて審査員を務め、その辛口コメントがSNS上で話題となった。 かつて年間100本以上のライブに出演...
優勝候補にも「愛のある」酷評
印象的だったのは、優勝候補だった翠星チークダンスの漫才を、「ウケてなさ過ぎて客に媚びている」「新しいように見えるかもしれないけど、お笑い界ではよく見る手法。シャバい」と酷評。
翠星チークダンスは「メンヘラっぽい男と、サバサバとそれを切る女」という立場を逆転させた漫才なのだが、確かに同じような「立場を逆転させる」という公式を使った漫才のスタイルは実はよく見たりする。
僕のような凡人は「でも面白かったしウケていたから、よく見る手法でもよくないか?」と思ってしまうが、粗品のような才能あふれる人から見ると新しい手法で抜群にウケないと評価に値しないのかもしれない。実際、M-1の霜降り明星の漫才は新しくて面白かったので、そこに基準を置くのも致し方無い。
ただ粗品のコメントは鋭いながらも熱いもので、翠星チークダンスの前のコンビ名「いなかのくるま」を口走るくらい、若手への愛へ満ちていた。余談だが、粗品は先輩には厳しいが、基本的に後輩には優しいらしい。
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第一線にいるからこそブレない目線
もう一つ、印象的だったのが、ハイヒール・リンゴとの激論。リアルな掛け合いが面白いマーティーの漫才に、リンゴさんが「ホンマのことばっかりいうと疲れる」とコメントしたのに、粗品が「いや、お笑い好きは疲れないですね」と返したのだ。
大御所であるリンゴ姉さんに真っ向から対抗し、しかも「お笑い好きは疲れない」という棘のあるコメントで徹底抗戦の構えだった。その時はさすがに会場がピりついた様子が伝わったが、粗品の上にも下にも媚びない姿勢に一貫性があり、審査がより信ぴょう性を持った。
賞レースを見ていると、審査員が周りの顔色を気にしながら点数をつけているように感じることもあったりする。M-1では特に顕著で、一人だけ点数が低かったりしたらその人が非常に気まずそうにする。
お笑いには明確なルールブックがないので、自分の感性があっているか不安なのだろう。その気持ちは簡単に想像できるし、審査員の人はネタを第一線でやっている人も少ないので、余計にそう感じるのかもしれない。
だが粗品は現役で時代に沿ったネタを作っているし、バラエティ番組に強いというより劇場やネタを含めたお笑い特化型なので、その辺りの気持ちのブレが少ないのかもしれない、と勝手に考察している。