
三大都市圏を中心に「バーニラ、バニラ、バーニラ、バニラでアルバイトー!」といった曲を大音量で流す広告宣伝車(アドトラック)の「バニラカー」が注目を集めたのは2018年頃のことだ。
道行く人の多くが振り向くほどの注目度の高さだったが、その一方で、あまりにも大音量の音楽に苦情が殺到。東京都は条例を見直し、昨年6月30日から、都外ナンバーも含めた都内を走行するすべての広告宣伝車を対象に、LEDで映像を流すなどしてほかの運転手の注意力を低下させる恐れのある広告を全面禁止した。
一方で、その宣伝効果に注目したのが警視庁だった。同庁は現在、繁華街を中心に広告宣伝車を走らせており、SNSに多数の目撃情報が寄せられるほど、注目を集めている。
SNS上では、《バニラカーかと思ったら、警視庁のトラックだった!》《ホスト募集のトラックと同じ仕様だけど音はなし。ホンモノの警視庁!?》などといった投稿が引きも切らない。社会部記者が言う。
「警視庁が広告宣伝車を走らせる目的は1つ。『闇バイト』の防止です。トラックの側面には、『必ず逮捕され、厳罰を受けます。「闇バイト」は犯罪です』と記され、『今ならまだ間に合うから!#9110にお電話を』と呼びかけています」
同庁では、Xにも、「東京都、埼玉県、千葉県及び神奈川県内の繁華街等で #アドトラック を巡回させ、いわゆる『#闇バイト』に応募しないよう呼びかけを行います。ひとたび『闇バイト』に加担すれば、必ず逮捕され、厳罰を受けます。勇気を出して抜け出し、すぐに警察に相談してください」とポストしている。広告宣伝車を走らせることで、主に繁華街に集まる若者に対し、注意喚起を行っているようだ。
大音量の求人広告には眉をひそめる人も多いが、無音でライトも点滅しない広告宣伝車なら、利用価値も十分にあるだろう。
(ケン高田)