パナソニックLUMIX「S1RII」レビュー。6年ぶりに刷新されたスチル向けフルサイズフラッグシップ機[OnGoing Re:View]

ほぼノンクロップの4K60p、4K120p

LUMIXフルサイズセンサーカメラを使っているユーザー悲願の「ほぼノンクロップでの4K60p」ではないだろうか?

今までのSシリーズでは4K60pで撮影しようとすると約1.5倍クロップしてしまい、場合によってはレンズ交換などが必要だった。
しかしS1RIIではほぼ全ての記録フォーマットにおいて最小のクロップに留めており、これであれば画角の狭さに苦慮せず、積極的にハイフレームレートを選択していけるのではないかと思っている。

センサーの読み出し速度の高速化などの、ある意味、副産物として4K120pでの撮影も可能としており、より滑らかなスローを用いた映像表現を撮影できる。ただし4K120pの場合はオーバーサンプリングされないため、画質劣化が生じ、AFも被写体認識せず合焦速度も低下する点については留意しておきたい。もし4K120pを使う上で早いAFを使いたい場合は、PIXEL/PIXELに設定すると約2倍程クロップするがAF速度は改善された。

以下に筆者の調べた範囲でのクロップ率を明記しておく。

◇撮影領域がFULLの場合

  • 5.9K(60p/50p/48p):約1.11倍
  • 5.8K(60p/50p/48p):約1.04倍
  • C4K(120p/100p):約1.1倍
  • C4K(60p/50p/48p):約1.04倍
  • 4K(120p/100p):約1.17倍
  • 4K(60p/50p/48p):約1.11倍
  • FHD(120p/100p):約1.17倍
  • FHD(60p/50p/48p):約1.11倍

◇撮影領域がPIXEL/PIXELの場合

  • C4K(120p/100p):約1.1倍
  • 4Kビデオ(120p/100p):約1.1倍

「スチル機のフラッグシップモデルなのだから、動画性能はいらない」などの意見をよく目にする。動画とは静止画の連続体であり、スチルカメラとしての性能を上げれば必然的に動画性能も上がってしまう。S1RIIにおいても高速な読み出しのできるセンサーと、それを支える画像エンジンがあるからこそ、このスチル性能と動画性能の両立ができるのであり、その両方を楽しんでほしいというメーカーの思想から、S1RIIが高次元でのバランスを保ったハイブリット機としてデビューした経緯を受け入れてほしいと思う。

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AIを使ったオートフォーカス

LUMIX S5IIで初めて「像面位相差センサー」を採用してから、早くも6台目の像面位相差センサーを積んだLUMIXである。S1RIIではAIを活用した人物の顔瞳認識AFを搭載しており、より高精度にフォーカスを合わせてくれるようになった。

今までオートフォーカスが弱いと言われ続けてきたLUMIXだが、ようやく他社のオートフォーカスと比較しても遜色のないレベルまで追い付いてきたように見える。S9等でも使われてきた従来のオートフォーカスにおいても、精度は向上した。我が家の写真嫌いな猫に協力してもらったが、目が見える時は即座に目を捉えていた。このカメラならもう少し歩留まりよくたくさんの記録を残せると思う。