3本の牙を持つ毒蛇が発見される / Credit:Australian Reptile Park(facebook)

オーストラリアの動物園「オーストラリアン・レプタイル・パーク( Australian Reptile Park)」にて、三つの牙を持つヘビが発見されました。

この特殊な毒蛇は、強力な毒を持つことで知られる「デスアダー」に分類されます。

しかし、デスアダーは本来2つの牙しか持っていません。

いったいどのような経緯で3つの牙を持つようになったのでしょうか。

目次

猛毒を持つヘビ「デスアダー」三本の牙を持つデスアダーを発見

猛毒を持つヘビ「デスアダー」


デスアダー / Credit:Wikipedia Commons

デスアダー(学名:Acanthophis)は、オーストラリアに生息する毒蛇として広く知られています。

ヘビにしては短い胴体をもっており、三角形の頭、小さな鱗も特徴的です。

見た目は地味で目だ立つことはなく、その姿を利用して、砂漠地帯や山岳地帯の枯葉や土、砂の中に隠れ、獲物が近づいてくるのを待つ習性があります。

そんな「待ちの姿勢」を示すデスアダーですが、攻撃が非常に強力であることで有名です。

まず、デスアダーの攻撃は非常に素早く、「世界中のどのヘビよりも攻撃が速い」と述べる人がいるほどです。

実際、一部の種は0.15秒未満で噛みつき、牙から毒液を注入できます。


デスアダーの毒は噛まれた人間を6時間で死に追い込むほど強力 / Credit:Australian Reptile Park(facebook)

そして牙から出る毒液も非常に強力です。

ひと噛みで40~100mgほどの毒液を注入し、そこには神経毒が含まれます。

噛んだ相手の神経系に作用し、急速に麻痺させ、最終的には呼吸困難を引き起こすことがあります。

最初は軽い麻痺症状に思えますが、6時間以内に死に至ることさえあるのです。

血清が登場する前は、デスアダーに噛まれた人間の死亡率は50%でした。

現在でも、デスアダーに噛まれたなら一刻も早く適切な処置を受ける必要があるでしょう。

このように、ただでさえ恐ろしいデスアダーですが、最近、オーストラリアの動物園「オーストラリアン・レプタイル・パーク( Australian Reptile Park)」にて、「最も危険なデスアダー」が発見されました。

なんとそのデスアダーは、3つの牙を持っていたのです。

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三本の牙を持つデスアダーを発見

オーストラリアの動物園「オーストラリアン・レプタイル・パーク」において、通常とは異なる特徴を持つデスアダーが発見されました。

このデスアダーは、通常の2本の牙ではなく、3本の牙を持っていたのです。


3本の牙を持つデスアダーを発見。片方に2本の牙がある / Credit:Australian Reptile Park(facebook)

この異常な特徴は、血清の製造プロジェクトで発覚しました。

スタッフたちがデスアダーから毒液を搾り取っている時、ある個体に3つの牙があることを偶然発見したのです。

通常、デスアダーは左右に1本ずつ牙を持ち、これを使って毒を注入します。

しかし、この個体は左側に追加の牙を持っていました。

この動物園は20年間の歴史があり、これまで何十万匹ものヘビを捕獲してきましたが、3本の牙を持つヘビが発見されるのは今回が初めてです。

オーストラリアン・レプタイル・パークの管理者も「初めて見ました」と驚いており、この3本目の牙は突然変異によって生じたと考えています。

詳しい原因は分かっていませんが、牙の生え変わりのプロセスが関係しているかもしれません。

何らかの理由で「生え変わりで抜けるはずの牙」が残ってしまったというのです。

そして、この3本の牙を持つデスアダーは、検査により、通常よりもはるかに多くの毒液を生成し、3本の牙全てから「大量の毒」が生成されていると分かりました。

このデスアダーは、一般的なデスアダーの約2倍の毒液を生成していました。

こうした経緯から、スタッフは「実は世界で最も危険なデスアダーかもしれない」と語っています。

参考文献

Venomous snake with 3 fangs may be the ‘most dangerous death adder in the world’
https://www.livescience.com/animals/snakes/venomous-snake-with-3-fangs-may-be-the-most-dangerous-death-adder-in-the-world

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。

編集者

ナゾロジー 編集部