生活を変えることで予防や改善が可能

このように逆流性食道炎とは、文字通りの「現代病」であり、かつ、ふだんの生活習慣や食事などが影響を及ぼしている点から、「生活習慣病」でもあるのです。

では、逆流性食道炎になると、どんな症状が出てくるのでしょうか。主に以下の五つがあります。

胸やけ・呑酸
のどの違和感
セキ
胸の痛み
胃もたれ

代表的なのが、みぞおちの辺りが熱くなり不快な感じがする胸やけ、酸っぱい物が胃から上がってくる感じ、ゲップがよく出るといった症状です。

のどの違和感を感じる人もいます。逆流した胃酸によって、のどが炎症を起こし、痛みや違和感を感じます。声がかすれることもあります。

逆流した胃酸に刺激を受けて、からセキが止まらなくなったり、気管支炎やぜんそくを引き起こしたりする人もいます。

胸の痛みを訴える人もいます。心臓を調べてもなんともないのに、この病気の影響で、胸を締めつけられるような痛みが起こることがあるのです。

胃もたれや、おなかの張りもよく見られる症状です。

日ごろから、胸やけなどを感じているかたは、次のチェックシートで、ぜひチェックしてみてください。

逆流性食道炎チェックシート
以下の1から14の症状に、思い当たる点数をつけて合計しましょう。
ない=0、まれに=1、ときどき=2、しばしば=3、いつも=4

症状 点数
1 胸やけがしますか?
2 思わず手のひらで胸をこすってしまうことがありますか?
3 食事をしたあとに胸やけが起こりますか?
4 物を飲み込むと、つかえることがありますか?
5 苦い水(胃酸)が上がってくることがありますか?
6 前かがみをすると胸やけがしますか?
7 のどの違和感がありますか?
8 おなかが張ることがありますか?
9 食事をしたあとに胃が重苦しいことがありますか?
10 食事をしたあとに気持ちが悪くなることがありますか?
11 食事の途中で満腹になってしまいますか?
12 ゲップがよく出ますか?
13 食事をしたあとにみぞおちが痛みますか?
14 空腹時にみぞおちが痛みますか?
合計点数
総合計点数が8点以上なら逆流性食道炎の疑いあり。医師に診てもらうのがお勧め。

Kusano M.et al.:J Gastroenterol.Hepatol.,27(7).1187-1191(2012)一部改編[PRT-1021]
草野元康ら:消化器の臨床,15(4).465-473(2012)一部改編[PRT-960]

軽い胸やけやゲップなどは、少し食べ過ぎたときにも起こるため、病院を受診するほどではないと思いがちです。

しかし、逆流性食道炎を放っておくと、食事がつらくなります。すると、QOL(生活の質)が下がり、認知症やフレイル(心身の虚弱状態)といった、日常生活に支障を来す要因になることがわかっています。そうならないためにも、早めに対策を講じたほうがよいのです。

しかも、逆流性食道炎のひどい炎症を長い間放置すれば、食道がんの原因にもなります。さらに高齢者の場合、逆流した胃酸を誤嚥すると、誤嚥性肺炎になるリスクもあります。

お年寄りは、逆流性食道炎になっていても、自覚症状がないことがあります。食べ物がつかえるというので、調べてみたら、逆流性食道炎でひどく食道が荒れていたとか、症状が進行し、食道の狭窄が起こっていたというケースもあります。高齢のかたには、ぜひ用心していただきたいのです。

逆流性食道炎が疑われるときは、少なくとも一度は内科や消化器内科を受診し、調べてもらってください。

逆流性食道炎は、良性の病気です。治療法がはっきりわかっており、いい治療薬ができています。ですから、怪しいと思ったら、早めの受診をお勧めしたいのです。

また、逆流性食道炎の原因は、生活習慣とも大きくかかわっているので、生活を変えることで、予防や改善をすることが可能です。

 

この記事は『逆流性食道炎 自力でスッキリ治す!』に掲載されています。

画像参照:https://www.makino-g.jp/book/b559612.html