夫が亡くなるとどのくらい年金が増減するのか?世帯別シミュレーション

生計維持者の夫が亡くなった場合、遺族年金受給額はどれくらいになるのでしょう?いくつかの世帯例を挙げて計算してみます。

夫:個人事業主、妻:子ありのケース

【家族構成】
妻:40歳、第1子:10歳、第2子:8歳

【受け取れる遺族年金(1年間あたり)】
■第1子が18歳を迎える年度までの期間
・遺族基礎年金
79万5000円+(第1子)22万8700円+(第2子)22万8700円=125万2400円

■第1子が18歳以上になり、第2子が18歳を迎える年度までの期間
・遺族基礎年金
79万5000円+(第2子)22万8700円=102万3700円

■第2子が18歳以上になった場合
なし

よって、第1子が18歳まで125万2400円、それ以降、第2子が18歳まで102万3700円が受け取れる。

夫:個人事業主、妻:子なしのケース

【家族構成】
妻:40歳

【受け取れる遺族年金】
なし

ただし、一定の要件を満たした場合、寡婦年金または、死亡一時金が受け取れる可能性があります。

夫:会社員、32歳妻・子ありのケース

【家族構成】
妻:32歳、第1子:8歳、第2子:3歳
*夫の平均収入は月額40万円、厚生年金加入期間10年
*妻は、厚生年金の加入期間がなく、60歳まで40年間国民年金のみに加入すると想定

【受け取れる遺族年金(1年間あたり)】
■第1子が18歳を迎える年度までの期間
・遺族基礎年金
79万5000円+(第1子)22万8700円+(第2子)22万8700円=125万2400円 …

・遺族厚生年金
上表より、49万3290円 …

➀+=174万5690円
よって、
第1子が18歳となるまでの11年間、毎年174万5690円を受け取れる。

■第1子が18歳以上になり、第2子が18歳を迎える年度までの期間
・遺族基礎年金
79万5000円+(第2子)22万8700円=102万3700円 …

・遺族厚生年金
上表より、49万3290円 …

➂+=151万6990円
よって、
第1子18歳以降、第2子が18歳になるまでの5年間、毎年151万6990円を受け取れる。

■第2子が18歳以上になり、妻が65歳になるまでの期間
・遺族基礎年金
なし

・遺族厚生年金
上表より、49万3290円 …

・中高齢寡婦加算
妻が受け取る遺族厚生年金には、40歳から65歳までの間、「中高齢寡婦加算」という加算給付があります。要件は、「夫が亡くなった時に40歳以上で生計を同一にしている子がない場合、または、子が対象外の年齢となり遺族基礎年金が支給されなくなった時」です。受け取れる額は年度によりやや異なりますが、2023年度は59万6300円です。今回はこの金額が一定と仮定して計算します。

中高齢寡婦加算=59万6300円 …

+=108万9590円
よって、第2子が18歳以降(妻48歳)から、妻65歳までの17年間、毎年108万9590円が受け取れる。

■妻65歳以降
・遺族基礎年金
なし

・遺族厚生年金
上表より、49万3290円 …

・妻自身の「老齢基礎年金」
79万5000円 …
(※20~60歳まで未納期間がない場合の受取額)

+=128万8290円
よって、妻は65歳以降の一生涯、毎年128万8290円を受け取れる。

夫:会社員、妻:子なしのケース

【家族構成】
妻:42歳
*夫の平均収入は月額40万円、厚生年金加入期間30年
*妻は、厚生年金の加入期間がなく、60歳まで40年間国民年金のみに加入すると想定

【受け取れる遺族年金】
■妻が65歳まで
・遺族基礎年金
なし

・遺族厚生年金
上表より、59万1948円 …

・中高齢寡婦加算
59万6300円 …

+=118万8248円
よって、妻が65歳になるまでの23年間、毎年118万8248円が受け取れる。

■妻が65歳以降
・遺族基礎年金
なし

・遺族厚生年金
上表より、59万1948円 …

・「妻自身」の老齢基礎年金
79万5000円 …
(※20歳~60歳まで未納期間がない場合の受取額)

+=138万6948円
よって、妻65歳以降の一生涯、毎年138万6948円を受け取れる。

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まとめ


貯金
【画像出典元】「Ground Picture/Shutterstock.com」

夫が死亡した場合の遺族年金について、これまでの内容をまとめます。

子がいる場合は、遺族基礎年金が受け取れ、子の数により年金額が決まる
会社員の場合は、別途、遺族厚生年金が受け取れ、これまでの厚生年金の加入記録を基に計算される
子とは、18歳となる年度の3月末(一定の障害をもつ場合は20歳)までをいう
遺族厚生年金には、中高齢寡婦加算がある
家族構成や年齢、死亡した時の年金の加入状況によって、受け取れる年金が異なる

年金制度は複雑です。今回の解説では分かりやすくするために簡略化している部分があるため、詳しく知りたい方は年金事務所に確認しましょう。家族の一大事に生活を支えてくれるのが遺族年金です。まずは大まかに遺族年金のことを知って、生命保険に過不足があるようなら見直しましょう。