年金を増やすためにできること

年収ごとのおおよその年金受給額を見て、「もっと年金を増やしたい」と思った方も多いでしょう。ここからは年金を増やすためにできることを紹介します。

国民年金の追納

日本国内に住む全ての人は、20歳から国民年金の被保険者となり、保険料の支払いが必要です。ただし、学生は「学生納付特例制度」を利用することで、保険料の支払いが猶予されます。つまり、この制度により、学生である期間中は保険料を納付する必要がありません。

ただし、この猶予期間は将来の年金受給資格期間には含まれますが、年金額には反映されません。年金受給額に反映させるには、保険料を後から追納する必要があります。追納期限は10年以内で、期限内に全額追納すれば、保険料を支払った場合と同じ年金額を受け取ることができます。

国民年金基金に加入する

会社員の場合、年金制度は2階建てで、1階に国民年金(老齢基礎年金)、2階に厚生年金(老齢厚生年金、企業年金等)があります。しかしながら、自営業やフリーランスなど国民年金の第1号被保険者の場合は、1階部分しかありません。ただし、国民年金基金に加入することで、2階建ての制度となり、受給額を上乗せさせることができます。

付加年金に加入する

第1号被保険者・任意加入被保険者(※)が定額保険料に付加保険料(月額400円)をプラスして納付すると、老齢基礎年金に付加年金が上乗せされます。受け取れる付加年金の年金額は200円×付加保険料の納付月数となります。例えば付加保険料を10年間納めた場合の保険料の合計は4万8000円(月400円×12カ月×10年)です。そして、1年間に受け取れる年金額は終身で2万4000円(月200円×120カ月)増額されます。付加年金を利用できる対象の要件はあるので、気になる人は確認してみてください。

(※)「60歳までに老齢基礎年金の受給資格期間を満たせない」「加入期間が480ヵ月ないため、満額の年金を受給できない」等の事情があり、厚生年金に加入していない人は60歳以降も国民年金に任意で加入することができます。このような加入者を任意加入被保険者と呼びます。

扶養を外れて働く

社会保険上の扶養の範囲で働いている方は、状況が許せば扶養を外れて社会保険適用になるまで勤務するというのも良いでしょう。社会保険適用になれば年金がアップするだけではなく、健康保険の傷病手当金の対象になります。ただし、社会保険料を自分で支払うため手取り金額が少なくなることもあります。

給料を増やす

厚生年金は報酬比例部分があり、給与に応じて年金額も変わります。昇給・転職などで給与が増えると、その分支払う社会保険料が増えてしまいますが、将来受け取れる年金も増えます。

繰り下げ受給する

国民年金と厚生年金はどちらも65才が受給開始年齢ですが、受給開始を遅らせると受給額が1カ月ごとに0.5%増額されます。仮に70才まで受給開始を遅らせると年金額は約1.4倍まで増加します。

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老後の資産を増やすためにできること


資産を増やす
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年金を増やすことも重要ですが、それ以上に老後の資産を増やしていくことがもっと大切です。ここでは老後の資産を増やすためにできることを紹介します。

iDeCoに加入する

20才以上の人が加入できるiDeCo(個人型確定拠出年金)。iDeCoは自分で資金を準備し、老後に向けて積み立てる制度です。預金や投資信託などの金融商品を自分で選び、積み立てた資金を運用していきます。積み立てた資金を受け取れるのは60才以降となり、途中で引き出すことができないため老後資金をしっかりと準備することができます。なお人によって限度額は異なりますが、積み立てた掛け金は全額所得控除の対象になり、所得税や住民税などの節税効果もあります。

NISA制度を活用する

通常、株式投資や投資信託などから得た利益には約20%の税金が課せられますが、少額投資非課税制度であるNISAを活用すれば利益への課税はありません。中でも、つみたてNISAは非課税運用期間が20年と長期のため、2023年に積み立てた投資信託は2042年まで非課税で運用できます。

また2024年から新NISAの制度がスタートし、非課税運用期間が無期限になります。20代や30代であれば運用期間が30~40年程度を見込めるため、将来に必要な資金を準備するのにピッタリの制度になります。

残念ながら預貯金だけでは資産形成が難しい時代になっています。iDeCoやNISAなどの制度を活用し、「長期・分散・積み立て」というスタイルで資産を増やすことを目指しましょう。