8月3日。大阪府警は平成31年4月下旬から令和5年4月下旬までの間、大阪府内の民家において10歳未満の男児Bらに対しわいせつな行為をしたとして、わいせつ目的略取、強制性交等の容疑で大阪府内に居住する男性作業員A(23)を逮捕した。
Aは自宅近くの公園で「ゲームをしよう」「動画を見よう」などと言葉巧みに児童らに近づき、自宅に連れ込んだあげくわいせつ行為に及んでいたという。
男女を問わずわいせつ行為をしていた
捜査関係者が事件の経緯について説明する。
「被害男児Bは4月ごろに母親に“友達が被害に遭った”などと申告。心配した母親がBにも被害に遭っていないか? と確認したところ、その時は否定しましたが、のちに再確認するとBは自身の被害を打ち明けました。被害を認知した母親は5月上旬に110番通報。Bの通う小学校では以前から複数の児童らが被害を受けており、男女を問わずに小学生と遊ぶ人物として保護者らに把握されていたAの存在が浮上、逮捕に至りました」
Aが最初に逮捕されたのは前述した今年5月のBへのわいせつ目的略取、強制性交等容疑だが、警察が捜査を進めたところ、AはBのほかにも複数の児童らへBと同様のわいせつ行為を繰り返していたことが判明した。警察は30件の事件を認知し、うち28件の犯行を特定。被害者総数は27人にも上った……。
「Aは男女を問わずわいせつ行為をしていました。犯行の手口は似通っていて、自宅付近の公園で児童らに近づき声をかけ自宅に連れ込んだあげく、着衣をずらし、体を触ったり触らせたりしていました。特に男児にはあおむけに寝かせた上で口腔(こうくう)性交をするなどの卑劣な行為をしていました」(大阪府警担当記者)
知的障害はあるが刑事責任能力は問える
逮捕後にAは「小学生男女どちらにも興味がある」「男の子を触ったら興奮した」「自分の体も触ってもらったら自分で触るよりも興奮した」などと供述しているが、今回一連の逮捕容疑の発表が“匿名”であったのには「いくつかの理由がある」と先の府警担当記者が続ける。
「Aには中度の知的障害があり、約4年にわたる犯行が行われた時期には未成年時の犯行も含まれていることや、すべての犯行がAの居住地にあるため、近隣に住む被害者児童保護の観点から地域特定を避けるため、通常の犯罪では発表される居住地、氏名等の発表は行われませんでした」
知的障害者による児童らへの連続性犯罪――。
Aの犯行は家族不在時に自宅で行われていた。そうした理由からか、家族は少年時代にAが学校の同級生を触ったことがあり叱ったことがあるものの、一連の犯行には気づかなかったという……。
「Aには知的障害がありましたが、地検はAが知的障害者の作業所で働いていることや簡易鑑定の結果、善悪も理解していると判断したことなどから刑事責任能力は問えるとし、今年6~7月にかけ、強制性交罪など5件で起訴しました。ですがAが起こした28件の犯行のうち、2件については不起訴処分としています。過去にも知的障害者が起こした性犯罪を伴う重大犯罪で被告の弁護側が精神障害の影響で心神喪失状態だった、と無罪を主張するケースもあります。一連のAの犯行がどの程度認定されるかに注目しています」(同前)