新卒同期で同い年、年収も同じ700万円だが…43歳・会社員、同期から聞いた“驚きの貯蓄額”に思わず「本当におなじ給与?」【CFPが解説】

家計を見直して毎月12万円の貯蓄捻出に成功

毎月12万円貯めるため、支出は38万円以内に抑える必要があります。

収入(社会保険料など天引き)手取り給与月額50万円-貯蓄12万円=38万円※

※30歳から39歳(平均35.1歳)の消費支出額は27万1,859円。2012年の総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)平成24年家計の概況」の「二人以上の世帯のうち勤労者世帯の年齢階級別消費支出額」により。

一見余裕があるようにみえる支出額ですが、当時から共稼ぎだったA家には、外食費や保育園の延長保育料などがかさみ、貯蓄をする余裕はなかったのです。

そのようななか、A夫妻は貯蓄にまわす12万円について、食費や水道光熱費などの節約、衝動買いの禁止、夫婦の小遣いや加入中の保険の見直しで捻出するといいます。しかし、12万円の貯蓄原資には程遠いため、筆者は2台持っている自家用車うち休日にしか乗らない1台の売却を勧めました。筆者の試算で、維持費や買い替え費用も不要になり毎月約5万円削減できます。

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10年で「1,642万円」もの貯蓄を達成できたワケ

そしてこの10年間A夫婦は、毎月12万円の貯蓄資金を、①銀行の定期預金に5万円、②投資信託に4万円、③株式に3万円と分けて運用し、1,642万円の資産を形成したのです。

また、Aさんの給与は毎年約2.2%、10年間で700万円に上昇しました。しかし毎月の生活費や貯蓄額は維持しているので、給与振込口座の残高も増え、旅行費用に使ったりしても現在の残高は約300万円です。この調子で貯蓄を続ければ、53歳に購入予定の住宅の頭金資金も順調に貯まっていくでしょう。


[図表3]3種の金融商品に10年投資の実績(各種手続き費用や諸税は除く) 
出所:筆者が試算

「NISA(少額投資非課税制度)」を利用すれば、収益に係る20.315%の税金が非課税になりますが、運用できる銘柄が指定され、現在夫婦が運用している金融商品の銘柄には含まれていません。

そこで、2024年から「新しいNISA※」が始まるのを機会に、口座を開設して運用することや、運用資金の振替を銀行や証券会社だけでなく、クレジットカードも利用してカードの特典を享受することも検討しているそうです。

※金融庁2024年からの「新しいNISAのポイント」を参照。なお、一般口座や特定口座に預けている上場株式や株式投資信託等を、NISA口座に移すことは制度上できない。NISA口座は、NISA口座内で新たな資金で買い付けた上場株式や株式投資信託等のみ保有できる。

Aさんに感服したNさん

以上筆者は、Aさんの資産形成の実績と今後の計画をNさんに話しました。Nさんは「あいつ、陰でそんな努力を……すごいな」と感服していました。

そして、Nさんも貯蓄をはじめるため、まずは現在2台所有している自家用車のうち、維持費が高い車を売却して支出額の削減を図るそうです。それから、今度は夫婦で筆者の事務所に訪れる日時を決めて帰られたのでした。