時給を聞いて驚がく

「人ガ少ナイ、忙シイ。ピザ来ルノ遅イ……」

聞けば、調理もデリバリーもすべてスティーブさんが引き受けていて、人手が足りなくても補充してくれないのだとか。「オ仕事、大変……デモ、オ金必要。頑張ル」と言うので、時給を聞いてみると……。

「見習イダカラ、時給365円!」「ええっ!?」。見習いだからといっても、それは安過ぎです。

何かピンときた様子の母。「もう少し話を聞かせてくれない?」と身を乗り出して聞き始めました。スティーブさんが語るお店の実態は、私たちが驚がくする悪質な勤務条件・労働環境だったのです。

「あの店長、とっちめておかないと!」。母と私は温め直したピザを食べながら、作戦会議に取り掛かりました。

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悪徳ピザ屋に鉄つい!

数日後。ランチタイム終了時を見計らって、私と母は例のピザ屋に突撃。店内には、店長と外国人の従業員たちがいて、スティーブさんも勤務中でした。

「すみません、店長さん。お話があります」と切り出した母。「何だ、こっちは忙しいんだよ!」と不機嫌そうな店長にかまわず、話を続けます。

「それなら単刀直入に。あなた、従業員を時給365円で働かせていますね? 調査済みなので言い訳は無用!」。そう宣言された店長は、慌てふためいた様子でモゴモゴと何か言っています。

「令和5年10月1日から施行された、東京都のアルバイトを含む労働者の最低賃金は1,113円です。外国人を低賃金で搾取していませんか?」と私も追及。すると店長は「し、知らなかっただけだ!」と開き直りました。「知らなかったで済む話ではないんですよ」

「労働基準法では、事業者は最低賃金以上の支払いを遵守することが定められています。最低賃金法4条2項では、最低賃金を満たさない雇用契約は、被雇用者が合意しても賃金に関する部分は無効です」

すかさず母も加勢してくれました。「ちなみに、違反して差額を支払わない場合は、50万円以下の罰金に処せられます。これは最低賃金法40条ね」