【老後資金づくり】「会社員の同級生がうらやましい」…50代・個人事業主が受け取れない「退職金約2,000万円」のハンデを埋めるには?新NISAでシミュレーション

新NISAで10年間運用すると、いくらになる?

それでは、新NISAで10年間積立投資したらどうなるのでしょうか。新NISAでは非課税保有限度額が1,800万円なので、年間180万円(毎月15万円)積み立てたと仮定します。さらに、想定利回りはGPIFの運用結果をもとに4%とします。


出典:金融庁|資産運用シミュレーション

投資元本1,800万円に対し運用収益が408.7万円となり、合計2,208.7万円となります。先ほど大企業のサラリーマンの退職金は約2,000万円と解説しましたが、新NISAを利用すれば、10年で同程度の金額を貯めることができる可能性があるのです。

(広告の後にも続きます)

「コア・サテライト戦略」で新NISAのメリットを活かす

新NISAの最大のメリットは、運用益が非課税になることです。ですから、このメリットを最大化しようと考えれば、運用益が大きくなると期待できるハイリスク・ハイリターンの株式ファンドの比率を高めるべきです。

まずは、GPIFの基本ポートフォリオ(国内株式25%、国内債券25%、外国株式25%、外国債券25%)を基本にし、さらに運用益を最大化したい場合は、株式ファンドの比率を高めるようにします。

そのときに参考になるのが、「コア・サテライト運用」です。コア・サテライト運用は投資戦略のひとつで、安定的に運用する「コア」部分と、積極的に運用する「サテライト」部分を分けて考えます。この戦略では、「コア」部分で中長期的な安定収益を期待し、「サテライト」部分では比較的高いリターンを目指して運用するのです。

「コア」部分は、しっかりと分散投資を行い、市場動向に合わせて資産配分を見直します。こうすることで、中長期的に安定した値動きを目指す「守り」の役割を果たすのです。一方、「サテライト」部分は、リスクを取ってリターンを狙う攻めの役割を担います。コア・サテライト運用では、攻守のバランスが重要です。まずは、コアの部分をしっかりと固め、安定した資産づくりを目指しましょう。

コア・サテライト戦略を活用してポートフォリオを組む際には、一般的には運用資産全体の7割をコアに、残りの3割をサテライトに配分するのが理想的とされています。先ほどの新NISAの積立投資では、つみたて投資枠10万円、成長投資枠5万円(合計15万円)とすると、この比率に近くなります。

ただし、この割合はあくまで目安であり、年齢や投資経験、資産運用の目的によって変わります。積極的にリスクを取れる若年層でも、投資初心者であれば「コアの部分だけでリスクを抑えた運用をする」という判断も適切です。

コアとサテライトに含めるアセットクラスも、取るべきリスクの大きさに応じて異なります。高齢者の場合、金融資産の取り崩し期には、バランスファンドや世界の株式に投資するインデックスファンドよりも、比較的リスクの低い日本国債などが適していることもあります。

ただ、人生100年時代を迎え、50代では20~30年といった長期で運用することも考えると、GPIFの基本ポートフォリオをコア部分とし、サテライト部分では外国のアクティブファンドや株式、REIT(不動産投資信託)などでリスクを取るのも良いでしょう。先ほど解説したように、新NISAによる運用益の非課税のメリットを最大限に活かせるからです。

つまり、コアの部分(70%)はインデックスファンド、もしくはバランスファンドを利用してGPIFの基本ポートフォリオ(国内株式25%、国内債券25%、外国株式25%、外国債券25%)にし、サテライトの部分(30%)は外国株式のアクティブファンドや株式、REITで運用するようにするのです。

また、最近ではインドやインドネシア、ブラジル、南アフリカなどの南半球に多いアジアやアフリカなどの新興国・途上国の「グローバルサウス」に注目が集まっています。個別にインド株などを対象にしたファンドをサテライト部分に組み入れても良いですし、新興国やグローバルサウスを対象にしたファンドを組み入れる方法もあります。

ただ、ポートフォリオのリスクを高めると損益のブレが大きくなる可能性もあります。大きな含み損にも耐えられるよう、差し迫ったライフイベントや万が一のときに備える予備資金などはきちんと確保した上で運用するようにしてください。