勝手に引き立て役に

「紹介するよ。俺の高校の同級生……なんだけど、お前、何だよその格好。今日の集まりは、大卒で有名企業勤めのエリートが来るセレブ合コンだ。女性も良家の令嬢ばかり。高卒で工場勤務のお前じゃ、普段すれ違うこともない方々だ」

私を見下すEは、聞かれてもいないのにペラペラと話を続けます。「高校を出ても就職先がないから、親のオンボロ工場に拾われたんだよな」

親のことまでバカにされた私は、怒りで震えました。望んで両親の後を継ぐべく工場に入ったのに、ずいぶん勝手なことを……! 挙句、最初から引き立て役のつもりで誘ってきたのは明らかなのにこんなマウンティングまで。

「俺はやさしいからさ、チャンスをやろうと思って呼んだんだよね。引き立て役なんかじゃないよー。まあ、貧相な格好に地味な経歴じゃ、そうなっても仕方がないけど」

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あきれて帰ろうとした瞬間!

ああ、これは何を言っても時間と労力の無駄。Eは昔からこういうヤツだったことを思い出しました。私は無言で踵を返し、会場を出ようとしました。するとそのとき。

「あの……」と、後ろから俺を呼び止める女性の声がしたので、振り返ってみると……。

それは、うちの工場が取引をしている会社の社長令嬢、M子さんだったのです。M子さんは父親の会社で事務員として働いていて、私も何度か営業の際に会ったことがあります。やさしい雰囲気のおしとやかな女性なのですが、まさかこんなところで遭遇するとは……。

聞けば彼女も、友だちから人数合わせのため急きょ呼ばれ、合コンだとは知らずに来たのだとか。Eとのやりとりを見ていたらしいM子さんは、私のシャツの袖口を引っ張って皆の前に押し出しました。

「この方は、小規模ながら独自の技術を誇る工場を経営されています。父の会社も取引させていただいていますが、有能ですてきな社長さんです。なのに……。大卒だろうが一流企業に勤めていようが、真面目に働いている方を鼻で笑うなんて、まともな人がすることではないと思います!」