自由は、信頼の対価なのだよ。

「宇宙飛行でいちばん感動したことって何なんだい?」
「それは、もちろん、地球に帰って来た時よ」
「えっ?」
「地球に帰って来て、地球の重力と再遭遇したときよ。地球には重力があるんだって体で知ったこと。これに比べたら、宇宙から地球を見た感動なんて小さいわね。-中略- 正直言うと、私、宇宙から見る地球は美しいということは宇宙に行く前から想像ついていたのよ。-中略- だから、あぁ、やっぱり美しいという感動はあったけど、意外な感じはしなかったんだ。でも、地球に帰って来てから体が感じた重力は予想もしていなかったことなのよ。この地球の重力は自分の体で感じて初めてわかるものなの。」

このお話は、宇宙飛行士、向井千秋さんのパートナーである向井万起男さんの『女房が宇宙を飛んだ日』(講談社刊)の一節である。私たちが当たり前に生きる地球には、私たちが当たり前に利用している公共には、重力がある。

それぞれの国の貨幣の価値は、その国の信用で上下する。日本の「円」が、日本発行の「パスポート」が、海外で自由に使えるのには、日本という公共に信頼があるからである。公共への信頼という重力があってこその自由なのである。
自由は、信頼の対価なのだよ。
自由を大きな声で叫びたかったら、大きな信頼を先に築けってことである。

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現実と理想は、確かに違うけれど!?

日本は、地震や台風などの災害大国である。その度に、大変な現実を受け入れなくてはならなかった。しかし、その現実を理想へ。復興をして、新たな公共を創り上げてきた歴史もある。このファクトだけは、無力化することはできない。
公共を生きている私たちには、明るい未来を見る能力が、そもそも備わっているのである。