医療費控除の手続きを行うと住民税額も下がる

所得税と同じく個人が負担している税金に住民税があります。会社員の方はその年の住民税を翌年の6月から次の年の5月にかけて会社で源泉徴収されています。この住民税にも医療費控除は適用されます。ただし、住民税の場合は所得の大小に限らず税率は「一律10%」です。つまり今回シミュレーションしました20万円の医療費控除の場合、その10%にあたる2万円分、住民税負担の軽減につながります。

住民税の場合、手続きすることで戻ってくるのではなく、翌年の源泉徴収税額がその分少なくなることになります。なお、所得税の確定申告(還付申告)の手続きを行えば、住民税の手続きは特に行う必要はありません。

(広告の後にも続きます)

まとめ~医療費への意識を高めておこう~

・医療費控除は原則年間10万円を超えた額の医療費を負担した人が対象に
・所得税は適用される税率によって戻ってくる金額も異なる
・医療費控除は年末調整の対象外で、自分で手続きが必要。手続きを行うことで翌年の住民税も軽減される

今回、年収300万円、500万円、1000万円の3パターンでシミュレーションを行いました。課税所得がいくらなのか、それに適用される所得税率が何%なのかによって医療費控除の効果も変わってきます。会社員の方は年に1回会社から受け取る「源泉徴収票」に「給与所得控除後の金額」という欄があります。この金額から「所得控除の額の合計額」を差し引くと「合計所得金額」となります。この金額が上で紹介した所得税の速算表のどこに該当するか調べてみてください。そして今回のシミュレーションを参考にしながら医療費控除によってどれくらい戻ってくるか概算できると思います。

共働き夫婦の場合、夫が払った医療費が10万円未満、妻も同様に10万円未満となってしまうと、どちらも医療費控除を適用できません。医療費控除は所得制限や扶養の有無等に関わらず家族や親族分の医療費を実際に負担した人が受けることができます。よって、こういう場合、「夫が医療費担当」としておくことで世帯の医療費を合算し、夫が医療費控除を受けることができます。こういった工夫をすることも大切です。まずは医療費控除の対象になるかどうか分かりませんが、1年間しっかり医療費の領収書を整理するところからはじめてみてください。

医療費控除に関するQ&A

Q:歯列矯正は医療費控除の対象となりますか?

A:原則、子どもの場合は医療費控除の対象となりますが、大人の場合、美容目的であれば医療費控除の対象にはなりません。ただし、かみ合わせが悪いなど、専門医が診断し医学的に問題があると認めた場合は医療費控除の対象になります。

Q:医療費控除の手続きを行った場合、還付金はいつもらえますか?

A:手続きを行った時期やe-Taxを利用したかどうかによっても異なりますが、通常3週間から1カ月程度で手続きの際に指定した銀行口座に振り込まれます。