世帯別の減税恩恵はいくら?毎月の手取りはどう変わる?

それでは、具体的に定額減税の額をイメージしてみることにしましょう。

例1:扶養家族がいない会社員の場合

・現在の状況(月額)
給与25万円(所得税6000円、住民税1万円)

・受けられる減税額
所得税3万円
住民税1万円
=合計4万円

・減税の時期
所得税は、6月に減税されます。減税額は3万円ですので、差し引けない分は翌月以降に繰り越しです。つまり、このケースでは、6月から10月の5カ月の間、毎月6000円が減税されることになります。

住民税は毎月1万円ですので、1年間の納税額は12万円です。定額減税が適用されると、6月は住民税を徴収されず、7月から11カ月で均等徴収されるようになっています。その11カ月で支払う住民税の合計は12万円ですが、そこから定額減税分1万円が差し引かれるため、支払う住民税は11万円です。7月から1万円を11カ月間支払うということになります。

よってこのケースでは、今年6月に所得税分の6000円と住民税分の1万円の合計1.6万円手取りが増え、7月から10月までは6000円の手取り増です。

例2:扶養親族あり(配偶者、高校生の子ども2人)の4人家族の場合

・現在の状況(月額)
給与35万円(所得税5000円、住民税1万円) 

・受けられる減税額
所得税3万円×4人=12万円
住民税1万円×4人=4万円
=合計16万円

・減税の時期
前述したように、所得税は6月に減税され、差し引けない分は翌月以降(令和6年中)に繰り越されます。ところが、このケースの場合、通常支払うべき所得税は年間6万円(5000円×12カ月)であるため、減税額の12万円を下回っています。この差し引けない6万円は給付金が支払われることになります(給付金の詳細は後述)。なお、所得税の減税の対象となるのは令和6年分(1月~12月)です。最終的には、年末調整で調整されます。

住民税の1年間の納税額は12万円です。
6月は住民税を徴収されないため7月から11カ月間で12万円が徴収されることになります。その12万円から定額減税4万円を差し引いた残り8万円が今年の実質負担額です。つまり、7月から翌5月までの11カ月は7272円(8万円÷11カ月)を支払うことになり、減税額は2728円です。

よってこのケースでは、今年の6月に減税される所得税分の5000円と住民税分の1万円の合計1.5万円手取りが増えます。その後、7月から11月に減税される所得税は5000円、住民税は2728円なので、合計7728円の手取り増。12月は、所得税の年末調整によって3万円、住民税2728円の合計3万2728円の手取りが増え、1月~5月は、住民税のみ減税されるため2728円の手取り増となります。更に、差し引けなかった分が給付金として6万円受け取れ、合計16万円の減税となるわけです。

なお、賞与がある場合は、そこでも税額控除が適用されますが、複雑になるため割愛しています。
 

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住宅ローン控除への影響は? 


不動産の注意点
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住宅ローン控除は、住宅ローンを借りてマイホームの購入や増改築をしたときに、年末時点におけるローン残高の一定割合の税金が減額されるというものです。実は、定額減税も住宅ローン控除も同じ税額控除の仲間です。定額減税を受けることで、住宅ローン控除が満額受けられなくなると心配する人もいるでしょう。

定額減税は「住宅ローン控除を先に適用し、その後に定額減税が適用」されるようになります。そのため、年末調整や確定申告で調整されることになるようです。しかし、住宅ローン控除によって税額控除がされているため定額減税が十分に受けられなくなるケースもあるでしょう。その場合は、給付金で補てんされるようになります。