2024年の税制改正大綱で注目されている「定額減税」。政府は1人あたり合計4万円を所得税や住民税から差し引く案を表明しました。なぜ税金が安くなり、実際にどのくらい家計にプラスに働くのでしょうか。年収の違いや扶養者の有無、住宅ローン控除やふるさと納税への影響も合わせて確認していくことにしましょう。

定額減税とは

定額減税とは、一定の金額を税金から差し引き、個人の税負担を軽くするものです。政府は、納税者本人とその扶養家族を対象に、1人あたり所得税3万円・住民税1万円の合計4万円を定額減税するとしました。年収2000万円超は富裕層とされ、減税の対象外となっているものの、多くの方が恩恵を受けられる減税制度です。対象内の年収であれば、所得にかかわらず誰もが一定の金額を差し引かれることになるため、低所得層や中所得層の方が、メリットは大きくなります。

図表:国税庁「定額減税特設サイト」を参照し筆者作成

定額減税は、2024年6月以降に実施されるようになっています。ただ、サラリーマンなどの「給与所得者」、個人で事業を営む「事業所得者」、公的年金を受給している「年金受給者」、など立場によって減税のタイミングが異なります。なお、2つ以上所得がある場合は、主となる所得から減税され、最終的には確定申告で精算することになります。

図表:国税庁「定額減税特設サイト」を参照し筆者作成

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期間限定?なぜ定額減税が実施されるのか


物価の上昇
【画像出典元】「stock.adobe.com/Pixelbliss」

なぜ、今回のような定額減税が検討されているのでしょうか。これは、もっぱら物価が急上昇していることが理由としてあげられます。コロナ禍以降、スーパーやコンビニでのちょっとした買い物でも物価高を実感することが増えたことでしょう。そこで政府は、家計負担を減らすため、物価高対策として定額減税を行うことを考えているのです。

ただ、今回の定額減税は一時的なものとなります。現在、少しずつ賃上げをする企業が増えており、賃上げが物価高に追い付くまでの支え、というわけです。政府は、物価と賃金が程よく上昇していくことによって、デフレを脱却し、経済の良い循環を作ろうとしています。