最後まで好きに生きるわ…「高級老人ホーム」入居を決断した83歳女性が“自力で”費用捻出できたワケ【FPが解説】

老人ホームへの入居を検討、住んでいた家は…

83歳のA子さんは夫が10年前に亡くなり、相続した持ち家マンションで一人暮らしをしています。長年公務員として勤務してきた預金と夫から相続した遺産があり、金銭的に困窮することはありませんでした。

A子さんが80歳になりアンティーク陶磁器収集クラブで話をしていた時のこと。仲良しのB子さんが「有料老人ホームに引っ越す」と話し出しました。

B子さんは2つ年下で、趣味の会のなかでも元気で活発なムードメーカーです。A子さんは、老人ホームは介護が必要になって入居するようなところだと思っていたのでとても驚きました。

B子さんは、部屋の間取りや充実した食事、元気であれば外出も普通にできること、何より病気になっても24時間体制で見守ってくれるところが安心だと教えてくれました。気になる入居費用は、入居一時金で1,500万円、月額利用料が30万円ということです※。

B子さんに子供がいないため、夫が亡くなった後一人で暮らしていくのが不安になり、早めに終の棲家を考えたようです。

「私は財産を残す人もいないので迷惑をかけずに生活するように準備をしようと思うの。趣味も楽しみたいしね」

と、とても楽しそうにしているのが印象的でした。

「住んでいた家は売ったの?」と誰かが質問し「リースバックを使ったの」という答えにみんなざわつきます。

リースバックについて、B子さんも不動産会社の担当者に提案されるまでは知らなかったそうです。

「賃料は発生するけど、名義が変わるから固定資産税は払わなくてよくなったわ。最初は有料老人ホームに移ろうとしていたのだけど、急いで決めるのは嫌だったから。手元に資金を残して今までの生活をつづけながら探せたから、私にはぴったりだったの」と楽しそうに話すB子さんの表情が忘れられず、自分もリースバックを利用して老人ホームでの生活を思い描くようになっていくのでした。

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老人ホームの入居一時金もリースバックで

数日後、息子が久しぶりに自宅に来た時、思い切ってB子さんの話をしてみました。

夫から相続した遺産は、自分が生きている間に趣味や友人との付き合いに使いたいこと、施設に入る時の入居一時金を準備したいこと。

息子は「母さんが楽しいと思うことにお金を使ったほうが良いよ。父さんもそうして欲しいと思っているだろうから」と快諾してくれました。

ただし、業者によって売却価格や家賃が違うことも多いため、焦らず複数の会社から見積もりを取って、一緒に検討していくという約束になりました。

A子さんの自宅は、港区内の駅から徒歩3分の2LDKマンションです。資産価値が高く、リースバックを利用して入居一時金のほかに趣味に費やす資金も用意することができました。

以前から手元にある預金2,000万円は、月額利用料の補填として月に5万円使ったとしても、100歳超まで人生を楽しめそうです。

A子さんは、リースバックの申し込みから3年後、施設に入るため自宅から退去しました。3年間でゆっくりと老人ホームを探せたことも良かったのですが、陶磁器収集の趣味でずっと欲しかったマイセンのアンティーク人形を購入できたことも大満足の結果でした。

もちろん、今も趣味の仲間とは会って楽しい時間を過ごしているそうです。

参照元:国土交通省|住宅のリースバックに関するガイドブック