俳優・綾瀬はるかが最新モードをまとう。 この春は「シック」がキーワード

人気ラグジュアリーブランドの2024年春夏コレクションから選んだ大人のためのベストルック。オーセンティックでありながら、さりげないスパイスの利いた今どきのシックを俳優の綾瀬はるかがモードなアティチュードで表現。

HERMÈS
情熱的な赤をノンシャランな魅力で表現

上品な全身レッドのルックが印象的だった「エルメス」の2024年春夏ランウェイショー。繊細な刺繍を施したトランスペアレントなレースのボディスーツに、カットワークレースのパンツのコーディネートは、ファブリックからのぞく、さりげない肌見せがポイント。トップスはタイトフィット、ボトムスはリラックスシルエットという、今年らしいボリュームバランスを、トングサンダルを合わせ、リラックスムードで着こなしたい。


ボディスーツ[参考色]¥270,600 パンツ¥865,700 サンダル¥129,800(すべてエルメス/エルメスジャポン)

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Interview
シンプルなスタイルを愛し続ける
綾瀬はるかの心をときめかせるもの

20年以上、第一線を走り、みずみずしい輝きを放つ俳優の綾瀬はるか。時に時代劇や重厚な人間ドラマ、本格アクションで観る者を揺さぶり、時にコメディエンヌとして心を温める。どんな作品でも、役へのひたむきな姿勢が胸を打つ。ひとたび役を離れれば、ほがらかで自然体。心境の変化を経て、ゆったりとした日々を過ごす今、毎日の装いについて語ってくれた。


ジャケット¥638,000 トップス¥858,000[ともに予定価格](ともにプラダ/プラダ クライアントサービス)

「ファッションの撮影は久しぶりで楽しかったです。ハイヒールを履いたら、足元が女性らしくなっていいなと思いました」

撮影を終えると、白のフーディに黒のパンツという軽やかな日常着で現れた。「今履いている『ドリス ヴァン ノッテン』のパンツ“PARTAN”は、3年くらい前にお誕生日プレゼントでもらって、愛用しています」

普段の服装はボーイッシュだ。「子どもの頃からずっと、少年っぽさのあるものが好きですね。お転婆で、パーカーと短パンばかり着ていました。基本はシンプルで、色もほとんど白、黒、ネイビー、グレーです」

ベーシックなアイテムに愛着がある。「黒のニットはいろいろな型やブランドで、20枚くらい持っているかな。お気に入りのものは10年以上着ていますね」

自身にとってファッションは、「生活であり、心をときめかせてくれるもの」だと語る。

「肌触りがいいものを着ると、安心感に包まれる。寝る時もパジャマは上下お揃いで、ネックウォーマーの色を合わせたりして楽しんでいます」

シンプルなスタイルは変わらないが、年齢とともに着こなしは変化してきた。

「カチッとしたものを着ると、ぐっと年上に見ることがありますよね。だからキャップやニット帽をかぶったり、ラフな服を着てアクセサリーで遊んだり、そういうバランスが好きです。最近、ゴールドのイヤリングをつけると気分が上がります。以前は大人っぽくなり過ぎるかなと思ったけれど、似合う年齢になってきました」

今月、39歳を迎えた。仕事と向き合う心境も若い頃と同じではない。

「20代はとにかく働くことが楽しくて、台本を受け取ると知らない世界が広がっていると思いました。経験を重ねるなかで、『面白いのかな?』と不安に感じることも出てきて。そう思いながら演じるのは作品にも失礼だから、心からワクワクするものを選んでいきたいと思っています」

台本以上のものを届けたいという思いがある。重視しているのは、役に対する愛情を持てるかどうかだ。

「台本を最初に読み終えた時の感覚を一番大事にしています。いい作品は、自分の役だけではなく、周りのキャラクターにも愛情を持てるんです。だからお芝居をする時も、自然に涙が出たりする。台本に感情を動かされて、チームの人たちと妥協なくいいものを作ろうとしている時は幸せです」

今年10月公開予定の映画『ルート29』は、姫路と鳥取をつなぐ国道29号線を舞台にしたロードムービーで、人と交わらない寡黙な清掃作業員を演じた。

「監督から『演技しないで』と言われて、『ええっ!?』って(笑)。台詞も、『そんなに伝えようとしないでください』と。頭で考えず、無の境地になれるか……。今までの経験をすべて捨てる現場なんだと思って挑みました」

今はオフの期間で、台詞に追われることもなく、羽を伸ばしている。

「ジムに週に一度通うくらいで、食事制限もせず、“わがままボディ”になっていますね(笑)。スキンケアは、乾燥を防ぐため朝は洗顔せず、化粧水を染み込ませたコットンで拭き取ります。でもドラマを見るのに熱中して、加湿器のお水がなくなってもそのままにしちゃったり……」

海外ドラマに夢中で、つい深夜まで見てしまうと笑う。ずっと走り続けてきて、今は貴重な余暇を楽しんでいる。

「今年は遊びたいな、と思っています。充電して、本当にやりたいと思える作品に出会えたら挑戦したいです」

interview & text: Saya Tsukahara