日本の人口は、2008年の1億2808万人をピークに減少に転じており、2048年には1億人を割り込み、2060年には8674万人まで減少すると見込まれています 。日本が現在直面している最大の問題は、この少子高齢化による人口減少であり、増大し続ける社会保障費であることは言うまでもありません。
現役世代の負担を増やし続けるには限界があり、だからと言って年金や医療費を削減してしまったら、高齢者が最低限の生活すら送れない可能性が生じてしまいます。
どの道を進んでもいばらの道になりそうな日本の将来ですが、暗い事ばかり考えて悲観しても仕方がありません。明治時代には、大日本帝国憲法が制定されるまでに60以上の憲法の私案(私擬憲法)が民間でも検討され、官民挙げて国難に立ち向かった歴史があります。
そこで、明治時代に生きた市井の人々にならい、僭越ながら筆者も日本経済を復活させるためのプランを考えてみます。
問題の整理
冒頭で述べたように、日本では、高齢化社会によってさまざまな問題が生じています。この記事では、その中でも特に優先的に解決すべきと思われる問題を以下の3点に定め、その解決法を提案します。
年金の積み立て不足
老後資金の貯蓄不足
医療費や介護費用の高騰
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筆者の私案:65歳以上の最低賃金撤廃
働くシニア女性
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筆者は、日本経済を復活させる切り札として、65歳以上の最低賃金を撤廃することを提案します。具体的には、65歳以上の最低賃金を時給250円と定め、1日あたりの労働時間の上限は6時間とし、雇用契約のない日払いの労働者として労働力を提供してもらうための制度の設立を目指します。
高齢者にとって足りないお金はそれほど多額ではない
若年層の方々は、これからたくさんのお金が必要になります。結婚して二人で住む家を借りれば、そのための家具や食器などが必要になります。子供が生まれれば養育費がかかりますし、家を建てればローンの支払いが始まります。それと比べると、高齢者に必要なお金は、実はずっと少ないのです。
総務省の家計調査報告 によると、高齢無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の公的年金等の収入から消費支出を引いた金額は以下のとおりです。
<引用元>
総務省作成「家計調査年報(家計収支編)2019年 総世帯及び単身世帯の家計収支」
https://www.stat.go.jp/data/kakei/2019np/gaikyo/pdf/gk02.pdf
65~69歳・・・毎月4万8686円の赤字
70~74歳・・・毎月4万1004円の赤字
75歳以上・・・毎月1万4180円の赤字
65歳で定年を迎えるとすると、定年以降69歳までで一世帯当たり毎月5万円弱、70から74歳までで毎月4万円程度収入が不足しており、その分だけ貯蓄を取り崩して帳尻を合わせています。これが、年金の積み立て不足の内訳です。
時給250円で働いたらどうなる
では仮に、65歳以上の高齢者が時給250円で働くとします。1日の労働時間は休憩を挟んで6時間、月間労働日数は平均20日間(週休2日、祝祭日休み)に設定します。これを夫婦2人で行うとすると、一世帯あたりの月収は以下のようになります。
時給250円×6時間×20日間×2人=6万円
先ほどの総務省のデータと見比べてみると、これで毎月の赤字は埋まり、貯蓄が可能になります。ちなみに、65~75歳までの10年間夫婦で働いたとすると、この10年間で貯蓄できる金額は計算上以下のようになります。
65~69歳:(60,000円-48,686円)×12カ月×5年=678,840円
70~74歳:(60,000円-41,004円)×12カ月×5年=1,139,760円
65~74歳までの貯蓄合計:678,840円+1,139,760円=1,818,600円
仮に75歳でこの仕事を辞めた場合、上述の総務省のデータによると75歳以降に毎月1万4148円の赤字となってしまいますが、上記の貯蓄分を切り崩すことにより約130カ月は生活することができるため、計算上は男女の平均寿命の平均値(男性80歳+女性86歳÷2≒83歳)まで生活できることになります。
つまり、65歳で退職した時点で1円も貯金がなかったとしても、統計データに基づく計算上は、男女ともに天寿を全うすることができることになります。
これで、【年金の積み立て不足】と、【老後資金の貯蓄不足】をある程度解決することができます。
企業側に需要はあるのか?
若年者と高齢者を同じ賃金で雇うのであれば、これからも長く働ける若年者に軍配が上がりますが、若年者1人分に支払う賃金と高齢者4人分の賃金が同じであればどうでしょうか?恐らく、高齢者に時給250円で働いてもらった方が良い仕事もあるはずです。また、この時給であれば、日本人と同じ最低賃金で働く外国人労働者よりも遥かに安価な労働力を企業側に提供することができます。ひょっとしたら、後進国の平均賃金よりも安価な労働力となるかもしれません。