10年前と比べて生涯年収は上がっているのか


上昇グラフ
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私たちの収入は全体的に増えているのでしょうか。前項で紹介した機構が公表する「ユースフル労働統計2022」で、2011~2020年の生涯賃金の推移が紹介されています。これによると、全体として少しずつ上昇傾向にある印象ですが、2019年から2020年に向けては下がっているようです。

【男性】生涯賃金の推移

出所)独立行政法人労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2022  労働統計加工指標集」

【女性】生涯賃金の推移

出所)独立行政法人労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2022  労働統計加工指標集」

今後はどうなるでしょうか。昨今は、コロナ後の物価高への対応や、長期的な経済活動の活性化を目指し、賃上げを企業に求めるなど、政府がさまざまな対策を行っています。また、人手不足による人材確保という意味でも、初任給の引き上げをする企業も大企業を中心に増えてきました。そういった意味では、今後の日本経済の行方によって生涯年収も大きく変わることが期待できそうです。経済の行方が注目されます。

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転職すると生涯年収は増える?それとも減る? 


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最近は、日本も欧米のような考え方が少しずつ広がり、従来のように同じ会社で定年まで勤めるという時代ではなくなっています。転職サイトが増え、転職関連のCMもよく見かけるようになりました。ただ、転職することが、必ずしも生涯年収アップにつながるわけではありません。

転職後の年収アップは嬉しいものですが、合わせて、退職金についてもしっかり押さえておく必要があります。日本では、大手を中心とした中小企業に退職金制度が設けられており、それが老後の生活を支えてくれます。転職時も退職金が支給されますが、定年退職でないため、それほどもらえません。そういう意味では、転職をすると勤続年数がリセットされてしまい不利に働く面もあるということです。

このようなことも踏まえ、自身の生き方、つまり、どのようなライフプランを実現したいか、そのためのワークプランはどうするかを丁寧に考えていきたいものです。また、日本社会でも成果主義、実力主義へとシフトしている企業もあります。勤め先が変わることで、大きく収入が増えるケースがあるのも事実です。一方、残念ながら転職によって収入が下がる場合もあるわけですから、今の業務内容や会社との相性、今後のキャリアプランを見つめ直し、じっくり検討することが大切です。