10年前のインフルエンザの流行期、夫が突然40度の発熱! しかしそれはインフルエンザではなく、今まで聞いたことのない国指定の難病だったのです。病名が判明するまでの過酷な日々と、心身ともに疲れ果てた看病の体験をお話しします。

いきなり41度の発熱!



今から10年前、夫と私が35歳のときの話です。当時インフルエンザが大流行中だったので、夫婦で「そろそろワクチンを打ったほうがいいかな?」 と話していました。そんな夫婦の会話をあざ笑うかのように、その日の夜に夫が「寒けがする……」 と言いだしたのです。

熱を測ってみると、なんと41度! 「これはインフルエンザだな」 とは思っていたものの、あまりにも夫がしんどそうだったので、夜間の救急医療機関を受診することにしました。

病院でインフルエンザの検査をすると、結果は陰性。翌日の診療時間中に再度詳しい検査をすることになり、夜間の診察は終わりました。しかも「熱の原因がわからないから解熱剤は出せない」と言われ、その日は薬を処方されることもなく病院を後にしたのです。

帰宅後、頭痛と腰痛を訴え、嘔吐する夫。しかし解熱剤もないので、保冷剤でおでこや脇の下を冷やしながら、夜が明けるのをひたすら待ちました。ふと夫の首元を見ると、リンパの部分が腫れていたのを覚えています。

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日替わりでさまざまな検査をした結果…



翌日、意識ももうろうとする夫を連れて総合病院へ行きました。最初に医師が下した診断は伝染性単核球症の疑い 。

その後即入院となり、抗生剤の点滴が開始されました。点滴をしながら血液検査、CT検査、胸部X線検査、尿検査を実施。しかし、血液検査では炎症反応と肝機能数値が高いものの、他の検査はまったく異常なしでした。この間も夫の熱は38~40度をいったりきたりでかなりつらそうでした。

入院2日目、ウイルス検査はすべて抗体ありの結果が出たため、「ウイルス性の感染症の可能性は消えた」 と主治医に言われました。その後、結核菌の感染を調べるツベルクリン反応、悪性腫瘍検査、HIV検査と日替わりでさまざまな検査がおこなわれたのですが、すべて結果は陰性。とにかく早く原因が判明してほしい、と祈るような気持ちでした。

そして入院から3日目、膠原病(こうげんびょう)に詳しい先生の診察を受け、ついに病名がはっきりしました。夫の疾患は「9割の確率で成人スチル病だろう」 とのこと。

先生いわく「成人スチル病は、発熱や関節痛、発疹などの症状が見られる。発熱の原因として考えられる疾患をすべて除外して初めて診断できる病気」 とのことでした。