治療がスタートし、夫は回復したものの…



病名もはっきりしたので、1日40mgのステロイド内服薬「プレドニン」 を服用することになった夫。治療を開始するにあたり主治医から、ステロイド治療の副作用についての説明がありました。

主な副作用は、免疫力の低下、食欲増進、うつ症状など。病室は大部屋から個室へ移動となり、家族以外は面会謝絶。私も病室に入るときは、マスクを着用することになりました。

ステロイド治療を始めてから5日後。血液検査の結果、炎症反応も順調に下がっていたので2週間に5mgのペースで減薬していくことになりました。薬をゆっくり減らしていく理由は、量を減らすペースが早いと、症状が再発する恐れがあるからだそうです。ステロイド治療を始めてからおよそ1カ月で症状は改善。自宅療養できるまでになりました。

「ようやく良くなった……」 とホッとしたのもつかの間。自宅療養開始から数週間たつと、夫が精神的に不安定になってきました。ささいなことで激怒したり、「俺なんかもう必要のない人間だ」 と泣きだしたり。

かと思えば、深夜にネット通販で「探偵グッズ」 「昭和のテレビゲームカセット」 など、明らかに不要なものを次々と注文したり。思い余って主治医に相談すると、「ステロイド誘起性うつ病だろう」 とのこと。

「あまりに症状がひどいのなら安定剤を出しますよ」 と言われましたが、夫がかたくなに拒否したので薬の処方はされませんでした。その後、薬の減量と共に次第に元の夫に戻り、安心したのを覚えています。

自宅療養から2カ月後、夫は仕事に復帰し、半年程度でステロイド治療も終了しました。しかし、成人スチル病は国指定の難病。夫の成人スチル病発症から2年後に妊娠・出産したのですが、子どもの学資保険に夫名義で加入しようとしたら、「成人スチル病の既往歴があるから」 と加入を断られてしまいました。

また、成人スチル病を発症した人のうち、約半数の人が再発を繰り返すとのこと。あれから10年、幸いにも夫は再発していませんが、今でも風邪をひいて発熱すると、「もしかして……」 とドキッとしてしまいます。

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まとめ

ある日、夫が突然発症した「成人スチル病」という難病。検査結果が出るまでの不安な日々と、ステロイド治療が始まってからの過酷な毎日は本当につらいものでした。しかし、一番しんどかったのは、病気を発症した夫。どうか今後再発することなく元気に過ごしてほしいと願っています。

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)
2007年東京女子医科大学卒業後、米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科、同院東洋医学研究所を経て、2018年1月こまがた医院開業。2021年9月より介護付有料老人ホームの嘱託医兼代表取締役専務に就任し現在に至る。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『子宮筋腫は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力(KADOKAWA)』『自律神経を逆手にとって子宮を元気にする本(PHP研究所)』がある。

イラスト/サトウユカ

著者/もりはなこ(46歳)
高齢出産した娘の育児に毎日奮闘しつつ、迫りくる更年期の陰に怯えるアラフィフです。