日本では季節の変化を敏感に感じ取り、年中行事や習わしに添った植物を暮らしに取り入れてきました。
「二十四節気の花あしらい」では難しいルールにとらわれず、気軽に季節を感じられる花を楽しむテクニックを第一園芸のデザイナー、志村紀子がご紹介いたします。
2024年5月20日から二十四節気は小満に
小満(しょうまん)とは、全てのいきものが成長して、天地に満ち始めるという意味の節気です。梅雨の手前のこの時季は植物の勢いが増して、緑がいっそう濃くなっていることに気づくころですね。
今回ご紹介するのは、ごく短い期間にしか出回らないライラック。
北海道で毎年行われる「さっぽろライラックまつり」が行われるのもこのころ。今しか出会えないからこそ、見つけたらぜひ楽しんでいただきたい花のひとつです。
シンプルにざっくりと
国産のライラックが花屋に出回るのは、ほぼ5月の間だけ。フレッシュなイエローグリーンの葉付きで、甘い香りも楽しめるのは国産ならでは。
ちなみに、ライラックには輸入ものもあり、ほぼ通年出回りますが、葉は付いておらず、香りは弱めです。
ライラックは色の代名詞にもなっている柔らかな紫やピンク、白といったカラーバリエーションがありますが、ここではピンクと紫のライラックを使いました。
まず、最初は枝の部分も見えるガラスの花器にざっくりと生けてみます。ライラックは花木なので、力強い枝も魅力です。
葉ものを足さなくても、鮮やかな葉が素敵なアクセントになって、初夏の雰囲気を感じる花あしらいになります。
ライラックの花は動かす度に小花が落ちます。でも、落ちた花もとてもきれいなので、しばらくの間、そのままにしておくのも素敵ですよ。
※ライラックはとても水が下がりやすい花木です。水揚げ方法についてはこの記事の最後でご紹介しています。
花器をネイビーの水差しに生け替えてみました。器を変えただけで印象がガラリと変わりました。花と花器の色が響き合って、ヨーロッパの雰囲気に!
ライラックは陶器もよく似合いますので、お手持ちの器でいろいろお試しくださいね。
(広告の後にも続きます)
パステルトーンの花と組み合わせて
ライラックに5月が旬のカンパニュラを合わせて、庭に咲く花を集めてきたような、ナチュラルな花あしらいです。
なんとなく昭和の印象があるカンパニュラですが、色が近いライラックと合わせるとお互いを惹き立てます。このままでも素敵ですが、起毛したシルバーリーフが特徴のヘリクリサムなど、色や形の違う草ものをアクセントに加えると、花全体に動きが出て、見ごたえもアップします。