「ダイエットをしても、以前のように体重が落ちない……」「運動をしてもウエストが細くならない」。更年期を迎える前と同じようなダイエットでは、体に変化が出にくくなってきます。確実に痩せたい! 更年期に適したダイエットとは? 産婦人科医の善方裕美先生にうかがいました。

監修/善方 裕美 先生(よしかた産婦人科院長)
横浜市立大学産婦人科 客員准教授。日本産婦人科学会専門医。女性ヘルスケア専門医。日本骨粗しょう症学会認定医・評議員。約30年にわたって多くの悩める更年期女性と向き合い、更年期障害についてカウンセリング、HRT(ホルモン補充療法)、漢方薬、食事、運動、代替医療など多方面のアプローチで治療をおこなう。著書『最新版 だって更年期なんだもーん 治療編』(主婦の友社)。

女性ホルモン減少で脂肪燃焼しにくい体に



更年期になると、女性ホルモンの1つエストロゲンの分泌が急激に減少します。エストロゲンには脂肪の燃焼を促す働きがあり、そのためエストロゲンが減少することで脂肪が燃焼しにくい体になってしまいます。

また、エストロゲンの減少により内臓脂肪の分解が弱くなるので、腸の周りの腸間膜に脂肪がたまり、ぽっこりおなか体形に……。ですから更年期を迎える前と同じダイエット法では体重が落ちにくく、理想とするスタイルの維持も難しくなってくるのです。

減少したエストロゲンを補う方法としてホルモン補充療法という更年期障害に対して使用する薬剤がありますが、ホルモン補充療法の効用に「体形維持」や「ダイエット効果」というものはありません。体形維持を目標とするなら、更年期に適したダイエット方法を試してみましょう。

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基礎代謝が低下しエネルギー消費量も低下



エストロゲンが減少する更年期。付きやすくなった内臓脂肪を食事改善・適切な運動で落とすことで、ぽっこりおなかが改善されます。

同時に、基礎代謝を上げるダイエット方法も取り入れてみましょう。基礎代謝とは、体温の維持や呼吸・内臓の働きのために必要なエネルギーを消費すること、つまり生命維持のための基本となる体の代謝のことです。基礎代謝が高い=エネルギー消費量が多いということ。その日にとり過ぎたエネルギーを運動で消費するのは一般的なダイエット法ですが、基礎代謝を上げることができれば極端な話、何もしなくても寝ているだけでもエネルギーが消費されるわけですから、体形維持にはもってこいなのです。

そんな基礎代謝ですが、更年期ごろから加齢により、筋肉が減ったり、身体能力が下がったりするなどで基礎代謝が低下してきます。そうなると更年期を迎える前と食べる量が同じでも、消費できるカロリーが減っているため、太りやすくなってしまいます。それが更年期太りが急増する原因の1つであるといわれています。